「世界一遊ばれるゲーム」を追い求めて日々ゲーム開発・運営をしているアイディス。そんな大きな目標に突き進んでいるアイディスの小倉唯克氏・篠子裕氏にゲームエイトライターがインタビューすることに成功した。会社理念や職務内容はもちろん、社風や福利厚生といった深い部分までお聞きすることができたので、ぜひチェックしてみて欲しい。
自己紹介
▲今回の取材にご協力いただいた小倉唯克氏(右)・篠子裕氏(左)。
小倉唯克氏(以下、小倉氏):アイディスで取締役CTOを務めている小倉唯克と申します。基本的には社内の技術関係全般を見ています。ゲームとのつながりは、学生の時に「X68000」のパソコンゲームを作ったのが最初で、その後1990年からゲームに関わっています。その後に家庭用ゲームを20年ぐらい手がけて、モバイルゲーム開発に携わるようになりました。
アイディスのゲームに関しては、初期のものから作っており、現在運営してる『ラストクラウディア』にも最初から関わっています。
篠子裕氏(以下、篠子氏):ゲーム事業部プロデュース第一部の部長を務めている篠子裕と申します。元々は『ラストクラウディア』のプロデューサーとディレクターを開発時から務めていて、今は新作のディレクターを務めながら部署を纏めています。
元々は編集プロダクションや出版社関連の仕事をしていて、その中で代表の早貸と出会い、今の会社の前身から一緒にやっていますね。
世界一を目指す企業と支えるスタッフ
ーーまずはどのようなゲームをリリースされているのか、御社について教えていただいてもよろしいでしょうか。
小倉氏:弊社は2016年に創業しました。現在運用しているタイトルは『ラストクラウディア』の一つになります。もちろん新作の開発も進めているので、近々みなさんの手に取っていただけると思います。
ーー4.5周年に公式生放送の取材に伺わせていただいたんですけど、温かいファンの方がめちゃくちゃいて、愛されているゲームだと肌で感じました。
小倉氏:ありがとうございます!ファンのみなさんにはいつも助けていただいています(笑)
篠子氏:『ラストクラウディア』はファンとの距離感を大事にしたいと思い、作りました。最初は不具合も多くて運用するのに必死だったんですけど、二代目のプロデューサーやディレクター達がファンとの距離を縮めてくれました。今だとX(旧Twitter)で直接投稿し合ったりするようになって、本当にファンとの距離感は近いですね。
距離感が近い理由としては、最近のゲーム会社では珍しいオリジナルタイトルというのが大きいと思っています。発言を自由にできるので、距離を縮めやすいのも愛される理由の一つかなと。
ーー「世界一遊ばれるゲームを創る」というミッションをお持ちだと思うのですが、このミッションを持つようになった背景を教えていただけますか。
小倉氏:以前代表の早貸に対して「何をやりたいですか?」と聞いたんです。そうしたら「世界一遊ばれるゲームを創る」と返ってきました。
なので、今世界で1番多くのユーザーに遊ばれている海外のゲーミングプラットフォームや、オンラインバトルアリーナゲームに続くようなゲームを作りたいです。それが私達の世界一ですね。
篠子氏:私も20代、30代の頃から早貸とずっと世界一と言い続けています。40歳を過ぎても世界一を狙える環境は面白いですよね。私達は世界一を目指して面白いと思うものを作っていますので、みなさんにも面白いと思ってもらえるのが一番嬉しいですね。
またみなさんにも、今でも思い出せる子供の頃に楽しんだゲームがあると思います。私達が作ったゲームで、一人でも多くの方の人生を豊かにしたい思いが、世界一を掲げている理由です。
ーーめちゃくちゃ素敵なミッションですね!スタッフが御社で働く上で大切にしてほしいことはありますか?
▲活発にコミュニケーションをとるアイディス社員。
小倉氏:やはりゲームが好きという気持ちが大事で、その気持ちがいいものを生み出すには必須だと思っています。私は役員という立場ですけど、クリエイターも同時に務めているんですよ(笑)
そのクリエイター目線で見た時に「ここまでは作らないとダメ」「ファンが見ていいと思うよね」「操作性がすごい高いよね」みたいな部分をこだわって欲しいですね。
篠子氏:ゲーム作りには当然スケジュールや予算があるので、仕事になってしまう人もいます。それは仕方がないことなのですが、終わらせることが目標になってしまったり、ゲームを作って生活できればいいだけでは勿体無いと思っています。
弊社のバリューには「エンジョイメント」がありまして、自分自身も楽しんで作ることが世界一を達成するために必要だと考えています。「指示通りに終わったので完了」ではなく、ゲームをプレイして面白いという部分を大事にしてほしいですね。
小倉氏:エンジニアでもよく言われていて、自分の担当部分だけじゃなくて、完成図や遊んでいるユーザーさんをイメージしてやっていきましょうという部分を心がけていますね。
篠子氏:どうしても仕様書や企画書には限界があります。その先はエンジニアが仕上げていく部分で、仕様書に書けないような動きなどは、丁寧に話し合いながら進めていきます。
出来上がったものを見て「違うな」と思ったら、進んで修正するゲーム好きな方々と一緒に仕事をしたいなと思いますね。
小倉氏:イラストなどもこだわりを強く持って作成しているので、同じことが言えます。
篠子氏:仕様書通りに作れば良いという仕事ではないので「すみません!もう一回作ってください!」ということも発生します。なので、そこはゲームが好きじゃないと辛くなるかと思います。逆に好きでしたら納得いくまで作り込める環境ではありますね(笑)
ーー「ゲームで世界に感動を」というビジョンを拝見したんですけど、今後このビジョンをどう実現しようと思っているのでしょうか。
篠子氏:ゲームは面白いシステムを考えるだけではなく、色々な要素が入っているのが大事だと考えています。私達がゲームで遊んだ時の記憶には、一緒に音楽が流れていますよね。イラストや音楽、シナリオなどが組み合わさることで、総合芸術になっていくのがゲームなので、常にゲームシステム以外の部分も大事にしていき、世界に感動を届けたいですね。
小倉氏:あとは日本だけで考えるのではなく、グローバルで楽しんでいただけるものを作ることを心がけていますね。
篠子氏:『ラストクラウディア』のイラストの色が濃いというのもその一環です。人によって色の見え方が違ってくるので、意識的に強めにしていますね。
ーー新作のリリースを含め、来期やそれ以降に予定しているゲームを教えていただけますか。
篠子氏:近々リリース予定のゲームが控えています。まだ詳しいことは話せませんが、みなさんの手に届く日は遠くないと思うので、ぜひ楽しみにお待ちいただけたらと思います!
ーー新作のリリースを楽しみにしています!
細分化されたチーム運営と職場環境
ーー『ラストクラウディア』のような長年ファンに愛されているゲームを運営されていると思います。どのようなチーム体制で運営しているのでしょうか。
篠子氏:運営体制は、プロデューサーとディレクターの2つに分けています。プロデューサーが売上や利益など金銭面に関する取りまとめたり、コラボなどの交渉を行っています。一方、ディレクターはゲームの面白さについて責任を持っています。新規機能やイベント内容、ゲームバランス、運営スケジュールなどの方針提案を行う形です。方針を決めた後はエンジニア、プランナー、デザイナーが協力しながらそれぞれの開発を進めていきます。他にデバッグ、カスタマーサポート、進行補助などを行うチームもあります。
開発については役割ごとでチームがいくつかに分かれています。運営チームという日々のイベントやガチャ追加を実装するチーム、新規改善という新しい機能やUI改善、ユーザーさんの希望を実現するチーム、キャラクターや装備のステータス、パラメーターを設計して作るチームなど細かく分かれています。専門知識がないと難しくなってくるので、常に連携を取りながら無敵のキャラクターを生み出さないように調整しています(笑)
また翻訳チームもあり、外国籍の方でとても流暢な日本語を話す方もいますね。
ーー世界への目線を大切にされている中で、全世界同時配信や同時運営にこだわっていると目にしました。言語やユーザーの特徴の違いなどがある中で、国ごとにどのように対応しているのでしょうか。
小倉氏:言語が違うところは当然言葉を変えたりしますが、カルチャライズしなくて済むように意識して作っているのも弊社の特徴です。面白いゲームは世界共通だと思っており、地域によって変えなければいけないものではなく、世界に受け入れられるものを意識して作っています。イラスト関係でも世界に向けて不適切なものは、最初から入れないようにしています。
篠子氏:世界基準で作っているからそのまま出しても大丈夫ですが、当然国によって要望が変わることもあります。出した時に日本だけではなく、北米や台湾などの様々なユーザーさんの意見も聞きながら、面白いものを出せるように心がけています。
ーー御社で働いている中でやりがいを感じる瞬間を教えていただけますか。
篠子氏:やはり直接タイトルを運営している中で、ユーザーさんからすぐに反応をいただけることです。特に全世界ですと、色々な国の方や普段絶対触れ合うことのないような方からも、作ったものに対して反応がもらえるのはやりがいだと思います。
あとは弊社の場合、オリジナルという部分が大きいと思っています。パブリッシャーとデベロッパーの両方をやっている会社はなかなかないので、その利点を活かしてオリジナル作品を作れるところです。他の作品の力を借りずに自分たちの作品として世界の方に受け入れてもらえるのはやりがいを感じますね。
ーーユーザーさんの反応は嬉しいですよね!自分たちで作ったものならなおさらそう思います。
篠子氏:ユーザーさんの声も各種SNSやDiscordなどで見ています。新しく開催したイベントや新実装のキャラクターに対する反応ですね。「ここがいい!」という部分も国によって違います。北米のユーザーさんたちには、女性の海賊が妙に好評とか(笑)
ーーお話を聞いていてグローバル色が強い印象を受けたのですが、会社ではどのような方々が働いているのでしょうか。
小倉氏:日本の会社なので日本の方が多いです。従業員は140名ぐらいいますが、10名程は海外の方でアメリカや台湾、中国、韓国と幅広く在籍しています。イラストを書いているスタッフに中国の方がいて、プログラムを担当しているメンバーには韓国の方もいらっしゃいますね。特に制限することはないのですが、コミュニケーションの中心が日本語なので、海外の方でも日本語を話せる方に働いてもらっています。
ーーものづくりに真摯に向き合うことを大切にされていると思うのですが、妥協しないからこそ苦労した話や印象に残っているエピソードを教えていただけますか。
篠子氏:やはり作ってみないと分からない部分が大きいので、最初は良いと思って作ったものでも、完成したら作り直しが発生することも起きるんです。『ラストクラウディア』だと、キャラが2Dで背景が3Dでの戦闘表現がうまくいかずにターンバトルに変更したこともあります。4〜5回くらい、バトルシステムの変更をしましたね(笑)最終的にエンジニアがスイッチ一つで、ターンバトルとリアルタイムバトルに切り替えられるようにしてくれました。
あとはイラストの方向性にもこだわっていました。リリース前の話ですが、40枚ぐらい書き終わった後に、それが最新のトレンドと異なるものになるだろうということで、全部ボツになったこともありましたね。人気のあるゲームは、世界でも日々変わってきているのは感じます。最近では日本らしいテイストのイラストも受け入れてもらえるようになってきています。
小倉氏:フレームレートや起動時間のスピードといった、ユーザーさんが気にしてる部分も苦労していますね。優先的に改善しようとしているのですが、時間がかかってしまうこともあります。
スタッフを支える環境とイベント
ーー働く社員を支えるために、会社が用意している制度を紹介していただけますか。
▲フリースペース。奥には自社キャラクターが印刷された自販機。
小倉氏:通勤手当・家族手当・健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険といった一般的な制度はもちろん、ランチ補助制度・ソフトドリンク飲み放題・格安自販機・オフィスファミマ・オフィスグリコなども用意されています。オフィスファミマでいつでも小腹を満たすことができます(笑)また、リモートワークも上長との相談の上で許可していますね。
篠子氏:あとはハロウィンパーティーや社内イベントも開催しています。今年のハロウィンでも「ラストクラウディア」のコスプレをした方もいて盛り上がりましたね(笑)総勢40名以上がエントリーしてくれて、クオリティの高いコスプレを披露してくれました。投票で上位の方には賞品も用意しました。
また、忘年会も開催しています。もちろん任意参加なので、強制はしないんですけどコミュニケーションを取れる場を提供させていただいています。
小倉氏:会社の周年をお祝いしたり、目標を達成したら社員全員に叙々苑のお弁当を振る舞ったりしています。定期的にイベントやご褒美があると一体感が出ますよね。
ーーゲームのコスプレってゲーム会社ならではですよね!紹介いただいた福利厚生の中で、特に社員に人気があるものはどれでしょうか?
篠子氏:格安自販機が一番人気ですね。半額程度の金額で買えるので、コーヒーやエナジードリンクなどを安く購入できます。あとは缶の雑炊なども取り入れています。すぐに売り切れるくらい人気ですね(笑)
私はよく社外でお弁当を買ってきてフリーの味噌汁を飲むなどして活用させてもらっています。
ゲーム好きの読者に向けて
ーーゲーム好きの読者にゲームへの熱い想いを伝えていただいてもよろしいでしょうか。
篠子氏:弊社はまだまだ発展途上で色々やることが多く、大変なこともありますが、その分、やりがいもとてもあります!スマートフォンは世界一普及しているゲーム機だと私達は考えているので、これまでメインで開発をしてきました。しかし、今はマルチプラットフォーム化がさらに進んできているので、今後はPCや家庭用ゲーム機向けと幅広く手がけていきたいですね。ゲームが好きな方や一緒に頑張ってくださる方、楽しめる方と出会えたらいいなと思います!
小倉氏:深く作りこむやり方を見たい方がいらっしゃいましたら、ぜひお会いしたいなと思っています(笑)
私が技術者なので技術的な話になりますが、スマートフォンゲームの会社はサーバー技術を重視している会社が多い中で、弊社はクライアント側の方の作り込みを見ることも多いです。家庭用ゲーム機のような仕事のイメージですので興味がある方はお待ちしています。
ーー忙しい中お時間をいただきありがとうございました!
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[取材協力]株式会社アイディス ( AIDIS Inc. )
(編集・執筆/ゲーム山本)