TGS2023にて体験版が公開され、現在も株式会社サクセスより鋭意製作中のPC向けローグライトシューター『HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方』。今回はリリースに向けて準備が進められる本作の製作チームの方を交え、インタビューをさせて頂いたので、本作へ向けられた熱い想いからゲーム製作の裏側まで前後編に分けて皆さんにお届けする。
前編では製作チームの方に本作が作られた背景や狙い、製品版での追加要素について詳しくお話を聞いていく。後編では本作の開発の裏側を掲載しているので、本作が気になった方は後編も併せてチェックすると良いだろう。
『HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方』とはどんなゲーム?
本作を知らない方もいると思うので、インタビューの前に軽く本作の紹介をしておこう。
『HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方(以下、「HEAVEN SEEKER」)』は、ランダムに生成されるダンジョンへ入り、ランダムで出現する様々なアイテムを入手して自分を強化しつつダンジョンの奥深くを目指すツインスティック・ローグライトシューターだ。
移動とエイムの両方を同時に行い、敵の攻撃を避けつつショット(射撃)を行って敵を撃破していくゲームとなっている。ランダム入手のアイテム「グリモア」の獲得により射撃のダメージアップ効果や特殊効果が追加されていくが、HPが0になると手に入れた「グリモア」を全て失う緊張感のあるシューティングゲームとなっている。
2023年12月現在、Steamで本作の無料体験版にあたる『HEAVEN SEEKER Prologue』(以下、「プロローグ版」)が遊べるため、PCをお持ちの方は本作をプレイしてから本インタビューを読むとより楽しめるだろう。
※本記事で使用されているゲーム画像は『HEAVEN SEEKER Prologue』の内容となります。
インタビューさせて頂いたお二人の紹介
▲今回の取材に協力していただいたTwY氏(左)、野原佳祐氏(右)。すごい格好をしているのでインパクト抜群だ。
TwY氏:プロデューサー兼プランナーとして『HEAVEN SEEKER』の開発に携わっていますTwY(トワイ)です。
入社前は弾幕ゲームの老舗だった会社に5年ほど在籍し、2020年にサクセスにプランナーとして入社しました。自社で新たなゲームを作るプロジェクトがスタートした際に『HEAVEN SEEKER』の企画で応募して、今回製作に携わることになりました。
自分の考えたゲームの企画を出して製作できるというのは夢があるので、ぜひゲーム業界に興味ある人はサクセスに来ていただければ(笑)
野原佳祐氏(以下、野原氏):同じく『HEAVEN SEEKER』のディレクターをしています野原です。
10年ほどサクセスでブラウザゲームの運営や受託開発に携わってきており、その中でTwYと一緒に仕事することになり『HEAVEN SEEKER』の製作を共にしています。
目指したのは「カワイイ女の子×繰り返し遊べるシューター」
──本作はどのようなゲームで、どのようなゲーマーに向けて開発されているのでしょうか?
TwY氏:本作は「ツインスティック・ローグライトシューター」という、2つのスティックで移動とショット(射撃)の方向を自由に制御できるゲームです。そこにランダムでダンジョン生成とアイテムが入手できるシステムを組み合わせたゲームとなっています。
やればやるほどプレイが上達していく体感が得られるシューター要素に、ローグライト要素を追加して、何度も繰り返し遊んで頂けることを目指したゲームです。手強いボス戦なども登場していて、何度も負けて上達していく...そういった意味では、1つの作品を何度もプレイしやり込むゲーマーの方に向けたゲームとして作っています。
野原氏:ローグライトシューターは海外で特に人気があり、多くのタイトルが登場しています。しかし、日本人や、日本的なゲームに親しんでいる方にとって、海外タイトルは、面白そうだけど絵柄に馴染みにくいといったことが多いのではないかなと。本作は、そういったユーザーさんに向けたタイトルにもなっています。「カワイイ女の子が登場するから遊んでね!」みたいな(笑)
TwY氏:美少女ゲームが結構好きなので「カワイイものっていいよね」という考えが基になっているのですが、海外のシューティングゲームのヒロインは日本の人がイメージするものと違って、ちょっと筋肉質な女性だったりするので、本作では日本のユーザーさんがイメージするカワイイキャラクターを追求することにしました。
──ちなみに『HEAVEN SEEKER』はいつ頃から作り始めたのでしょうか?
野原氏:ちょうど1年ほど前からですね。
TwY氏:体験版リリースから今に至るまで紆余曲折あったのですが、一旦体験版のレベルまで作ってTGS2023で実際にユーザーの皆さんに触れていただき、その反応で製品版まで作るか決めようというお話でした。
TGS2023でユーザーさんの反応もよくて製品版まで作る流れとなり、今は来年の夏あたりのリリースを目標に製作をがんばっています。
成長し困難を乗り越える達成感を与えたい
──本作では難易度が高いので、序盤から手堅く立ち回らないといけない印象を受けます。なぜ高難易度のゲームバランスにしているのでしょうか?
TwY氏:ジャンルが変わりますが、ソウルライク系のゲームだと何度も挑戦しつつ、勝った時に達成感が得られますよね。それと同じで、難所を乗り越えたときの達成感を得られるようにしたい狙いがあり、高めの難易度にしています。
野原氏:とはいえ最初のステージでやられて面白くない…ということは起きないようにしています。ステージが進むにつれて難しくなっていくデザインにしていて、最初からゲームを楽しんでもらえるように調整しています。
TwY氏:体験版で遊べる1ステージ目は、製作チーム内だと「簡単」な認識でバランス調整しています。ただチームメンバーは、休憩時間にも作ったゲームをするくらい普段からシューティングゲームをやり込んでいた人たちだったので、いざ世に出したら「難しい」という反応は多かったですね。
TGS2023では、シューティングゲーム未経験の方が最初1ステージで躓いていたのですが、1〜2時間程プレイしたら2ステージのボスを倒す手前まで上達していて「家に帰ってやり込めばもっと先まで行けるかも!」とコメントして頂けたので、ある意味狙い通りになっているのかなと(笑)
癖のある強化からカオスとワクワクの融合を狙ったグリモアシステム
──なぜグリモア(アイテム)でキャラクターの強化と同時に強い癖が生じるデメリットシステムを導入したのでしょうか?
TwY氏:実は製作側としてはデメリットとは考えていなくて、「なんだコレ!?」っていうカオス感と癖のあるショット同士を同時に付けたら「何が起こるんだろう」というワクワク感を楽しんでいただくためのシステムなんですよね。
癖のあるもの同士を組み合わせたら強力な攻撃になる場合もあるようにデザインしたのですが、ユーザーの皆さんにはショットが使いにくくなる「デメリット」として捉えられてしまって、今後はそこを工夫していければ...と思っています。
野原氏:ゲームプレイ中に新しい発見をしてほしい思いはあるのですが、実際に手に入らないとその強さがわからないので、そういった意味では受け入れにくいシステムなのは課題ですね。癖のあるショットをどう使っていくのかは、ゲーム内でも分かりやすく紹介できればと思っています。
TwY氏:僕が右回りや左回りのグルグル回るショットを使うのが好きなんですけど、そこに別の効果を追加して変わった挙動になるのを見つけるのが楽しいよね、というのをユーザーさんに感じ取っていただけたらと思います。
▲攻撃のダメージが強化される一方で、弾が曲がって飛ばなくなるという特性も付き一癖ある性能へと変わる。
現状では「デメリット」と思われているので、楽しさをユーザーさんに受け入れてもらいやすい形にどう落とし込むのかは課題ですね。もちろんユーザーさんからの意見やレビューもチームの方で全部読んでいるので、この一件に限らず満足行くゲーム体験を目指すためにチーム一丸となって頑張っています。
──ゲーマーとしては書いたレビューを開発者に見てもらえるというのは嬉しい話ですね。
TwY氏:Steamはインディーズゲーム主流なところもあり、本作もインディーズゲームに近い動かし方をしたいと思っています。スレッドを立ててユーザーさんから意見を頂いて、製品版のエンドロールにお名前を入れたいと考えています。
実は海外作品からインプレッションを受けた本作
──なぜ360度の弾幕シューティングにローグライク要素を取り入れたのでしょうか?
TwY氏:
ローグライク要素があった360度シューティングというジャンルに出会いって、プレイを通して面白さを感じたというのが大きな理由ですね。日本ではシューティング自体がニッチなジャンルとなっていますが、実は海外ではローグライク要素を合わせた360度シューティングというのはそこまで珍しいものではないんですよ。
──確かにこういったシューティングはまだまだ日本ではマイナーですからね。
TwY氏:海外ゲームからの派生となりますが、私達が面白いと思ったアイデアを詰め込んでいるので、日本の方に受け入れてもらいやすいゲームになっていると思います。
製品版ではキャラクターやカスタマイズ要素が追加予定
──製品版では繰り返しプレイによるアンロック要素が追加されるとのことですが、どういったシステムが登場するのでしょうか?
野原氏:プレイしていくと新たなスキルが開放されていき、HPの上限アップや攻撃の威力アップなどのカスタマイズ要素が追加できます。シンプルな強化以外にも、入手できる新しいアイテムが開放され、攻撃のバリエーションが増えるといった要素追加も行われる予定です。
カスタマイズには装備スロット枠も用意させて頂く予定で、「よくダメージを受けるからHP上限を大きく上げたい!」「ダメージは全部避けるから火力重視で!」というプレイスタイルに合わせた調整ができるようになります。
開放条件は「◯回プレイ」「特定の敵を◯回倒した」「特定のキャラクターを使ってプレイ」など様々な内容を考えています。今までクリアできなかった人も、要素追加によってクリアに近づける、クリアできていた人も、新しい要素でより楽しめるといった、繰り返し遊ぶ楽しさを提供できればいいなと思っています。
──尖ったカスタマイズのゲームプレイでSNSが盛り上がりそうですね。
TwY氏:上手い人がSNSなどに動画を出して、変わったカスタマイズや映えるショットを見たユーザーさん同士で「なんだこれっ!」っていう感じで盛り上がってもらえたり、新しい戦略やカスタマイズを発見して楽しんで頂けたらありがたいですね。
野原氏:ただ、最初から全部の要素があっても、選択肢が多すぎてユーザーさんは困惑してしまうと思います。そういった意味でも、要素はアンロックで増える形にしています。ぜひ、ゲームを進める中で自分のプレイスタイルを見つけていただければ!
──プロローグ版で登場した3人以外に、製品版ではどのようなキャラクターが登場しますか?
▲左から順に「ソフィリア」「ペンタス41」「メリアル」「ヤサカ」「テネブレア」。
野原氏:『HEAVEN SEEKER』の世界には5つの国があり、プレイアブルキャラとしては魔導国の「ソフィリア」、東方国の「ヤサカ」、神森国の「テネブレア」のプロローグ版で登場した3人に加えて、角があって羽が生えている魔族の「メリアル」、機械技術で栄えた国のロボット「ペンタス41(フォーティワン)」の2人が登場し、プレイはもちろん各キャラクターがどういった理由で探索するのかといったバックストーリーも楽しめます。
プロローグ版の3人もそうなのですが、製品版で登場するキャラクターは全員特殊なショット(攻撃)を持っていて、アイテムによって様々な変化が起こるのでお楽しみに!
NPCに関してもダンジョンの入口のエントランスのキャラクターが増えます。今は操作説明や世界観のお話をしているのですが、NPCひとりひとりがここまで来た理由など、NPCのバックストーリー部分などの深掘ったお話も用意しています。
──ちなみに皆さんが好きなキャラクターは誰でしょうか?
TwY氏:魔法使いの「ソフィリア」で目隠れキャラのドSで、ドレスから太もも見えていて…と好きを詰め込んだキャラクターになっています(笑)ゲームプレイ的にもデフォルトのキャラクターなのですごく素直な性能です。
他のキャラでは売店にいる女の子も好きです。ちょこんと座っている所が可愛らしいので好きですね。
野原氏:どのキャラクターも好きなのですがあえて推しを選ぶなら、製品版で追加予定の魔族の悪魔の女の子「メリアル」です。没落貴族の元お嬢様というキャラクターがいいです!今回のプロローグ版では残念ながら未登場なので、製品版でどのようなキャラクターかは、ぜひ皆さんに見て頂けたらと思っています。
プロローグ版で登場するキャラクターとしては「テネブレア」が一番元気でカワイイ女の子なので一番好きです!!!
TwY氏:実は「テネブレア」だけドット絵の中で唯一宝箱からアイテムを入手する時にウィンクしているんですよ!
──お二人とも好きなキャラを語るときの熱量がすごい!
TwY氏:私達だけでなく開発スタッフの中でもプロローグ版の3人の推しキャラが分かれているんですよね。本当に見事に全員好きなキャラがバラバラで推しについては激論が勃発しています(笑)
HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方の概要
[取材協力]SUCCESS
©SUCCESS
(編集・執筆/T_T)