TGS2023にて体験版が公開され、現在も株式会社サクセスより鋭意製作中のPC向けローグライトシューター『HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方』。今回はリリースに向けて準備が進められる本作の製作チームの方を交え、インタビューをさせて頂いたので、本作へ向けられた熱い想いからゲーム製作の裏側まで前後編に分けて皆さんにお届けする。
後編では本作のゲーム製作の裏側、本作の特徴である癖のあるショットのエピソードやドット絵が作られていった経緯など、プレイヤー視点では分からない裏側についてインタビューしていく。
役割の垣根を越えて助け合いながら製作する一面も
──ローグライクのゲームを製作するにあたって、今のゲームに至るまでの経緯や苦労したエピソードを教えていただけますか?
TwY氏:実は事前に「こうしたい!」という仕様はチームの中で固めてから作成に取り掛かったので、自動生成などの部分で苦労した点はそこまでなかったです。ただ「ランダム生成の部屋同士が繋がっていない」といったトラブル自体はあって、プログラマーの方と相談しながら調整していました。
野原氏:大枠は元から決まっていたんですけど、製作していると細かな調整が必要な場面というのは出てきました。
例えば、ダンジョンがランダム生成だとフロアクリアまでの道筋も毎回変わったり、でも完全ランダムにしてゴールがずっと出てこないような状況が起きると1つのフロアの長さが変わって、同じフロアなのに難易度に極端な差が生まれてしまいます。なのでゲームバランス的に部屋の数はいくつまでにするのか、そのためにどういう生成条件にするか、みたいなことをチーム内で考えていました。
ただプロローグ版でダンジョン生成のシステムは完成というわけではなくて、ユーザーさんから出てきた様々なご意見を基にして、調整が必要な箇所はもちろん、ユーザーさんに面白いと思って頂けるゲームを目指してアップデートしていく予定です。
TwY氏:余談になりますが、今回のゲーム製作は苦労というか楽しかった部分が大きいですかね。チーム全員のモチベーションが高くて、仕様上の不具合を見つけたときの回避策の提案であったり、プログラム的に新たなアイデアをもらったり、楽しい製作をさせていただきました。
野原氏:チーム仲が良かったので、役割の垣根を越えて、ゲームの表面的な部分から裏側のプログラムの部分まで様々アイデアが飛び出てきます。助け合いながら一丸となって製作となっており、いい経験をさせていただいているな、と思っています。
TwY氏:ありがたいことに別の製作へと移った元チームメンバーや、一緒にお仕事したことがない社外の人からも提案や感想が来ましたからね(笑)
──各ショットには様々な特徴がありますが、どのようなステップを経てそれぞれ実装まで至るのでしょうか。
野原氏:ショットに変化をもたらすグリモアは、私がゲームでどう使えるのかグリモアをデザインして、プログラマーさんにお願いして実装、プレイで確認...という流れになりますね。もし触った感じが微妙でも、本作は複数のグリモアを組み合わせることで、新たな使い道が見つかる可能性があるので、すぐに消すことはしませんね。
使い道が発見されずゲームが仕上がった際に、消されてしまうものもありますが(苦笑)。逆に組み合わせが強すぎるものに関しても調整しますね。
TwY氏:グリモアの組み合わせがとにかく多いゲームで、プランナーもプログラマーも想定していない事が起きることも結構あります。
例えば「敵に当たるとショットが別の敵に当たる」「ショットが自分にも当たる」という2つのグリモアを組み合わせると、近くに敵がいない状況では自分に攻撃が飛んできちゃうんですよ!なんで攻撃されていないのにダメージを受けているのか分からず、原因を突き止めてプログラマーに聞いたら「確かにそうなりますね...!」という納得の表情を浮かべていて「誰も気付いてなかったんだ!」という(笑)
野原氏:他にも「ショットを打った時に反動でノックバックする」「チャージショットを打つ」の2つを組み合わせてボスステージに行くと、部屋に入った瞬間ショットが打てて、チャージしたショットを撃った反動で自分のキャラが吹っ飛んでいき、ボスの扉が封鎖される前にゴール側の扉を通り抜けてボス戦スキップ...という技も見つけちゃったりも。
面白おかしいんですけど「これは直さなきゃ!」なんてエピソードもありますね。
TwY氏:製品版リリースまでできる限り修正はしていくのですが、組み合わせが多すぎて「特定の組み合わせで化ける!」みたいなものは、全ては見つけきれないかもとは思っています。でもそれも一つの面白さとは考えていて、とんでもない組み合わせが見つかっても面白いから残すみたいな事が起こるもしれませんね。
野原氏:すごい組み合わせを知っていても、グリモアがランダム入手という点を踏まえるとそう簡単には揃えられません。なので、極端にゲームバランスを壊さなければ、「頑張って揃えたんだし残しておこう」みたいな感じでネタとして残したいですね。
TwY氏:製作チームは「うわぁぁあああぁぁぁあああ」って発狂しているかもしれません(笑)
IXILLとの二人三脚で完成させたドット絵
──本作はドットで作られていますが、どのようにドット絵を製作していったのでしょうか?
TwY氏:絶対に2Dでやりたい想いが根本にあったので、2Dに強いIXILL (イクシール)さんのご協力の下、描いていただいて、野原とIXILLさんでドット絵を作りました。
野原氏:キャラクター、敵、マップ等のゲームで出てくるドット絵はほとんどIXILLさんの協力があってこそでした。
お願いしたこちらも驚くほどの熱量で、提案ベースでデザインやアイデアを頂けていて本当にありがたかったですね。小さめのドット絵でありながらも各キャラクターの特徴を出しつつ、走ったり宝箱を取ったりする動きが分かる絵の相談をしたりと本当にお世話になりました。
TwY氏:ちなみにキャラクターのお話であった「テネブレア」が宝箱からアイテムを取るとウィンクする、というのもIXILLさんに設定資料を読み解いていただき、「テネブレアだったらこう動くよね」という提案して頂いたものだったりします。
野原氏:小さいドット絵で特徴を出すという部分以外でも、キャラクターと背景で同じくらいドットを描き込むと見にくくなってしまう、という問題に対しても相談しながら進めさせて頂きましたね。
──ドットの描き込みは言われてみると想像できるのですが、プレイヤー視点だと実際に問題として出ないと分からないので気付けませんでした。裏では細かな工夫がしっかりとされているんですね。
TwY氏:あとは設定画や設定資料を見ていただいた後に「キャラクターのドット絵をとりあえず4パターン作りました!どれがいいですか?」と返信が来て、「そんなにパターン出てくる!?!?」と驚かされました。
他にも体験版ではまだ出ていない「すごいボス」もいるので、そこはぜひ皆さんに見て楽しんでほしいですね。
反響があればSteam以外でリリースの可能性も
──現在はSteam版のみとなっていますが、将来的にはPS5やNintendo Switch、スマホなどでも遊べるようになるのでしょうか?
TwY氏:将来的には何かしらのプラットフォームでは出したいですね。製品版をSteamでリリースした後、たくさんのユーザーさんにプレイしていただき、反響があればSteam以外の形でもリリースできればと思っています。
ただ先を見据える前にSteam版をしっかりと作って、ユーザーの皆さんに満足して頂けるゲーム体験を提供するのが目の前にある目標なので、製品版のリリースをしてから考えようかなと。なので製品版がリリースしたら皆さん遊んで応援して頂けるとありがたいです!
ゲームリリースに向けて最後に一言
──最後に記事を読んでいただいた読者の方々に一言お願いします。
TwY氏:製品版の開発まで踏み切れたのは、TOKYO GAME SHOW 2023やSteamで本作を遊んでいただき、応援してくださった皆様のおかげです。ありがとうございました!
そして、将来的には本作『HEAVEN SEEKER』だけに留まらず、本作から派生したタイトルを出していきたいとも思っているので、引き続き応援してくださるとありがたいです。同時に皆さんの応援に答えられるようチーム一丸となって頑張っていくので、これからもよろしくお願いします!!
野原氏:ローグライクやシューティングが好きでまだ遊んでいない方は、プロローグ版が無料で公開されているので、ぜひ気軽に遊んで頂けるとありがたいです。
まだまだ開発を進めているので、ぜひ未プレイの方はゲームを遊んでご意見やご感想を送って頂ければ!
──本日はありがとうございました!
HEAVEN SEEKER コノ残酷ナ世界ノ救イ方の概要
[取材協力]SUCCESS
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(編集・執筆/T_T)