勝つためのゲーミング用モニターは数あれど、没入感も合わせて高めるゲーミングモニターはまだまだ少ないゲーミングモニターの世界。今回は「一段上のゲーム体験がしたい...」そんな夢を叶えるゲーマーの目とも言えるモニターを紹介する。
本稿では30インチ超えの大画面でゲームから映画までなんでもOKなゲーミングモニター「MOBIUZ EX3210U」の実機をBenQ Corporationの日本法人であるベンキュージャパンより提供して頂けた。製品の特徴からゲームプレイ、組み立てまで本製品の特徴を皆さんにお届けしていく。
BenQ MOBIUZとは
BenQ(ベンキュー)は、モニターやマウスなどを取り扱う世界的企業で、eスポーツのプロシーンでも採用される「ZOWIEシリーズ」、優れた色彩やコントラストなど最先端技術が詰め込まれた映像が楽しめる「MOBIUZシリーズ」という2つのブランドを持つモニター界を牽引する老舗メーカーだ。
歴史は長く、知らず知らずの内に使っていたゲーマーも多いのではないだろうか?
今回は「ZOWIE」「MOBIUZ」2つのシリーズの中から、綺麗な画質と上質な音が特徴のMOBIUZシリーズのハイエンドモニター「MOBIUZ EX3210U」(以下「EX3210U」)を紹介していく。
万能モニターMOBIUZ EX3210Uのスペックをチェック
本モニターは、31.5インチ&4Kの大画面かつ高解像度で、リフレッシュレートが144Hz&1ms MPRTという滑らかかつ早い応答速度を実現した超ハイスペックな非光沢IPSモニターである。HDRi技術や高音質2.1chのtreVoloスピーカー、光るLEDバックライトまで完備されている。
「ハードウェアオタクが早口で語る呪文なんか分かるか!」という人向けに説明すると、大画面で大迫力の映像と音声がモニター1枚で楽しめ、FPSやアクションなどのゲーミング用途から映画鑑賞までガチで使える最強の万能モニターだと思ってもらえればOKだ。
▲大きさをどう伝えるか悩んだ結果、他のライターにディスプレイを持ち上げてもらった。人に対してかなり大きいモニターであることが伝わると思う。
一般的なゲーミングディスプレイが24〜27インチ程度であることを考えると、31.5インチの本ディスプレイはかなり大型であり、その分だけ大迫力の映像コンテンツが楽しめる。
ゲームへの没入感を高めるHDRi技術採用
今回レビューするEX3210UにはHDRiという、HDRをBenQ流に強化したシステムを搭載しており、没入感を高める技術が採用されている。
「そもそもHDRって?」という点を簡単に説明すると、映像で明るい部分が白飛びしたり、暗い部分が黒く潰れていたりと、本来の色が見えない場面で色のコントラストをバランスよく調整して両方とも綺麗に見せる技術だ。
だが一方でHDRではホラーゲームのように、暗く見せたいところが明るくなってしまうといった現象も起こり、ゲームへの没入感を損なってしまうケースが少なからず存在する。
そこで今回登場するのが2パターンのHDRi技術。上記画像の左の狼の尻尾を見ると、HDRとGame HDRiのシーンでははっきりと、Cinema HDRiでは暗く没入感をもたらす調整となっている。
Game HDRiは従来のHDRに近い調整となっており、ゲームで勝つという部分も兼ねたバランス型の調整となっているため、プレイするゲームによって切り替えると良いだろう。
余談ではあるが「Color Shuttle」というBenQ公式アプリを使うことで、様々なゲームに最適化された設定に変えられる。
アプリ設定後は、公式から設定をダウンロード&適用という2つのステップだけで最適な液晶設定になるため、液晶の細かな設定をしたことがない方でも、本モニターの性能を最大限活かせるだろう。
上下の高さや左右回転も可能
▲高さは上下に約10cm動かせる。
▲横は左右に約15度ずつ、合計30度の可動域があるためデスクの上に置く場合は向きの調整も可能だ。
31.5インチと大型ではあるが、スタンドは一般的なモニター同様に上下の高さ調整や左右への回転も可能で、設置環境に合わせた調節ができる。
大型モニターを載せてはいるが、ガタつきはなく比較的動かしやすいため、特にこだわりがない人は付属のスタンドで実用上の問題はないはずだ。
VESA規格にももちろん対応
31.5インチの大きなモニターをデスクに置くのはスペース的に厳しい…という方には嬉しい100×100mmのVESA規格にも対応。VESA規格は、モニターをスタンドやアームなどに固定するネジ穴に関する規格で、モニターアームを使えばデスクを圧迫せずに設置も可能となる。
モニター本体だけの重量は約6.6kgとのことなので、スタンドやモニターアームを使用する場合は積載重量と合わせてチェックして欲しい。
ゲームを実際にプレイしてモニターの性能をチェック
高いスペックのEX3210Uを検証できるゲームとして、今回はフロム・ソフトウェアより販売中の『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(アーマードコア6)』を選んだ。
グラフィックが作り込まれており、明るい場面と暗い場面が同時に映るシーンも多いため、4K&HDRi対応のスペックが存分に活かせるはずだ。なお今回はLEDなどのモニター以外の光が入り込まないよう、暗い部屋で撮影を行っている。
HDRiとHDRモードを比較
▲左がHDRおよびHDRiオフの補正なしモード、右がゲームHDRiモード
オフとゲームHDRiの2つのモードを比較してみよう。オフは機体や背景など画面が全体的に白っぽく、かつ股関節と足の繋ぎ目や背景部分が明るくはっきりと表示されている。良くも悪くもはっきりと映し出されていると言えるだろう。
一方ゲームHDRiでは、機体が赤みを増して色鮮やかになっている。関節部分は暗くなり、背景もより濃い青へと変わり、画面全体で深みが出ているのが分かるはずだ。
▲左がゲームHDRiモード、右がシネマHDRiモード
シネマHDRiは、ゲームHDRiと比べて若干色が鮮やかになり、暗い部分をより暗くしているイメージだ。写真では分かりにくい点ではあるが、関節部分などの映りが若干変わっている。
くっきり見えるようコントラストとグラデーションを強化したのがゲームHDRi、彩度と画像の鮮明さを最適化したのがシネマHDRiとなっている。
▲左がHDRおよびHDRiオフの補正なしモード、右がDisplayHDRモード
余談ではあるがDisplayHDR、いわゆる「普通のHDR」とオフの比較は上の画像の通りだ。オフと比較すると、若干鮮やかになり黒が引き立つような見た目となっている。ただゲームHDRiやシネマHDRiと比較すると彩度が低いのが伝わるだろう。
これらの設定は、モニターに付属の専用リモコンにて操作が可能だ。近付いてモニターの物理ボタンをポチポチする必要はないため、楽に設定ができるのは嬉しいポイントだと言えるだろう。
HDRiによる違いは派手なアクションシーンで顕著に
ここからはEX3210Uの最大の特徴であるHDRiを活用した実際のゲームプレイ画面へと移っていこう。
なおここからはゲームHDRiのモードを使用した際のモニターの画面をカメラで直撮りした画像を掲載している。
▲ゲームのスクリーンショットのように見えるかもしれないが、モニター越しの写真だ。コントラストがバッチリと決まっており没入感が出ている。
爆発や攻撃など派手なエフェクトと光の当たりにくい機体の陰の描画を見事に両立した本モニター。
筆者は別のBenQ製ゲーミングモニターで本作をやり込んでいたが、EX3210Uではコントラストが綺麗に決まっており、彩度の補正がなされた数々のシーンに深みがあった。特に陰へのこだわりで生まれる映像からは奥行きが感じられ、一般的なゲーミングモニターと比較しても満足の行く没入感が得られるだろう。
一方ムービー中のシーンでは、雪の影響で全体が白くしっかりと描画されている。派手なシーンではないため当然ではあるが、不自然に色鮮やかになる、といったことは起こらず自然な色合いに落ち着いていた。
4Kだけあり画面へ近づいても画質は落ちにくい
モニターから5cm程の至近距離で撮影した画像がこちらとなる。
実際にここまで近くで画面を見ることはないが、電気が流れる様子や自機のブースターなどもはっきりと視認できる。目の前で見ても画質の粗さはほとんど気にならないレベルなのは、さすが4Kの高解像度と言ったところだろう。
モニターながらもこだわりのスピーカー内蔵
ここまでで映像に力の入ったモニターであることは伝わったと思うが、高音質の2.1ch treVoloスピーカー内蔵でサウンドにこだわったモニターであった。
そのため本モニターはイヤホンやヘッドホン、外付けのスピーカー等を用意しなくてもゲームを存分に楽しめるわけだ。モニター1枚で映像と音の両方が手軽に楽しめるのは大きな特徴だと言えるだろう。
工具不要かつ2ステップでできる組立て
ここまで製品の使用感を紹介したところで、実際にモニターを組み立てた時の様子も紹介していく。
と言っても実際の組み立てはシンプル。「モニターを支えるスタンドの組み立て」「スタンドをモニターと合わせる」という2ステップのみだ。
▲最初のはめ込みに少し苦戦したものの、一度収まってからの組み立てはスムーズだった。
V字スタンドの付け根と胴体の部分はキレイにはめ込めるため、後ろにあるネジを手で回せばOKという仕様となっており、組み立てに工具は不要だった。
スタンドを組み立て終わった後は、モニター本体を箱に入れた状態で背面部分にはめ込めば組み立ては完了となる。
▲モニターは箱から出さず、後ろの部分にはめ込むのがポイントだ。なお、本来は液晶が傷つかないようモニター自体に白いカバーが付いているが、撮影の都合上外したものを掲載している。
筆者は31.5インチというサイズを聞いた時、重量級モニターで組み立てや設置に苦労すると予想していたが、薄型モニターを採用しているためスタンド込みで約9.5kgと見た目ほど重くはなく、大きさの割には楽に組み立てが行えた。
大画面×高画質×スピーカーで没入感MAXの高性能モニター
ここまでEX3210Uの実際のゲームプレイから組み立てまでを行ってきたが、実際の使用感は忖度抜きでかなり良好だ。特に彩度やコントラストの最適化が詰め込まれたHDRiは、ゲームプレイ中の光と陰の両方を同時に引き立てており、没入感と美しさの二点において一段上のゲームプレイ体験が得られた。
強いて懸念点を挙げるとすれば価格が約13万円程(2023年11月現在)とモニターとしては高価格帯である点だ。しかし4Kかつ144Hzというハイスペックな機種のため、長期間使っていても今後出てくる新製品と比較しても見劣りしないはずだ。長期的に使える高性能なゲーミングモニターを探している方にぜひおすすめしたい。
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[提供]ベンキュージャパン株式会社
(編集・執筆/T_T)