真摯なゲーム作りで「世界に、一番のワクワクを届ける」というミッションに向けて突き進む『f4samurai』。そんな『f4samurai』のCOO兼ディレクターを務めている田口堅士氏に、企業理念や職場環境、会社の特色についてお聞きした。ミッションを達成するために必要なマインドや心構え、さらに福利厚生やこだわりのオフィスなどについて詳しくお届けしていくので、ぜひチェックしてみて欲しい。
自己紹介
田口堅士氏(以下、田口氏):株式会社f4samuraiでCOO兼ディレクターを務めています田口堅士と申します。新卒で入社した会社の同期である金哲碩(現CEO)と、松野洋希(現CHRO)の3人で当社を創業して現在に至ります。ディレクター、プランナーとしてゲーム開発をしてきました。今も新規ゲームのプロジェクトでディレクター達と一緒にゲーム開発を行っています。その傍ら、経理や総務、労務のようなバックオフィス業務にも携わっています。
「世界に、一番のワクワクを届ける」ための心構えに迫る!目標は子どもから大人まで楽しめるゲームを生み出すこと!
ーー「世界に、一番のワクワクを届ける」というミッションを掲げていると思うのですが、ミッションを達成するために必要な考え方や、意識した方が良いことを教えていただけますか。
田口氏:ミッションを設定する時に「ワクワクを届けるって何だろう?」と考えました。素晴らしいエンタメ企業さんはたくさんありますし、面白いゲームもたくさんあります。その中で「僕たちが届けられるワクワクは何だろう?」と考えた時に、「自分たちが楽しい」と思えるものをユーザーさんに届けることだと考えました。
そのワクワクを伝えるためには、自分たちが作っているタイトルに愛着を持ったり、楽しんで仕事に取り組めることは重要になると思っています。開発者が心から「面白い!良い!」と思って作ったゲームと、そうじゃないゲーム、どちらの方が魅力的になるかって当然、前者だと思うんです。なので、メンバーが楽しみながら作ることができる環境作りは気にしています。
ーー自分達が面白いと思っているものをしっかり伝えるようにしているのですね!
田口氏:そうですね!一方で、自分たちのエゴだけで作ったゲームではワクワクは伝わらないので、ユーザーさんの目線に合わせる、声に向き合うことも大事だと思います。
ーー公式サイトに「samuraiスピリット8」というユニークな取り組みを目にしたのですが、どのような経緯や理由でこのミッションを設定したのでしょうか。
田口氏:今から7年ほど前、開発タイトルの成功もあり、新しい作品をつくるのにメンバーを徐々に増やしていました。3年くらいで、50人から100人くらいに増えたのですが、その時にいろんな価値観を持ったメンバーが同じゴールを目指せるように、全社に向けて大事にしたい価値観を共有する必要があると思いました。役員だけで決めるのではなく、f4samuraiらしくみんなで決めたものを、社員旅行で発表したんです。
話し合いの中では、「自分たちが楽しく仕事をできること」「周りに気を配ることも大事」「積極的にコミュニケーションを取っていきたい」など、仕事に取り組む姿勢を話しました。
会社全体の組織論を打ち立てて、ルールを決める方が簡単なのですが、みんなで考えながら仕事に取り組む会社にしたいという思いからこのような進め方にしました。
ーー常に進化を求められるようなミッションや理念を掲げられている印象なのですが、社風に合うのはどんな方だと思いますか。
田口氏:ありきたりな言葉ですけど、チャレンジし続けられる人や自問自答ができる人が社風に合っていると思います。僕が思うゲーム設計は素潜りみたいな感覚で、ゲームの限界まで潜って必死に自問自答を繰り返し続ける仕事だと思っています。「本当にこれでいいのか?」と考えながら続けられる人が合っていると思います。
ただ、その特色を持った人だけだとストイックな集団になってしまうので、支えてくれる人やサポートする人など、うまくバランスを取ることも大事ですね。
ーー独特な感覚をお持ちですね!そのミッションや理念を体現しているメンバーの印象に残っているエピソードはありますか。
田口氏:最近「コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ」のディレクターと話していた時に「僕がチームの中で一番詳しくありたいんです」と言っていました。他のメンバーもトップクラスにやり込んでいるので、それ以上にディレクターがやり続けることは相当大変だと思います。ただ、一番詳しくなるからこそ、より良いものを作れると話していたのが印象に残っています。
開発メンバーの中には、スマホ3台で初心者アカウント、中級者アカウント、上級者アカウントとして、プレイ頻度やランクにばらつきを持たせて、プレイしているメンバーもいます。最近、初心者アカウントが成長して中級者になってしまったらしく、新しく初心者アカウントを持とうとしていましたが(笑)
ーー我々もそうですがやり込みは大事ですよね!これから挑戦したいゲームジャンルや事業があったら、差し支えのない範囲で教えていただけますか。
田口氏:これといって挑戦したいゲームジャンルがあるかと言われるとなかなか思い浮かびませんね。ただ、当社がリリースしたほぼ全てのタイトルがラインキングトップ10に入ったことがあり、何タイトルかは1位も取れているので、高いヒット率を誇っているのが強みだと思っています。
しかし、ゲーム業界の覇権を握るタイトルはまだ作れていないと考えています。覇権タイトルを作りたいという訳ではないのですが、ユーザーさんが長い期間熱狂してくれるタイトルを見ていると羨ましいです。なので、我々が作ったゲームを子どもから大人まで、幅広い世代で楽しくプレイしている姿を見るのが目標ですね。
ーー今後どのようなゲームをリリースするのか妄想しながら待っていますね!
衝突するからこそ良いものを作れる?妥協なき、もの作りに取り組む姿勢
ーー妥協しないからこそ衝突や意見の食い違いが起こると思うのですが、どうやって解決していますか。実際のエピソードを交えながら教えてください。
田口氏:衝突にはネガティブな衝突とポジティブな衝突の2種類があると考えています。ネガティブな衝突は、プランナーがやりたいことに対して開発が間に合わないという衝突であったり、これだと関係のないメンバーに影響が出てしまうから無理といった衝突などですね。そういった意見も正しいと思うのですが、本質はズレているところも多々あります。逆にポジティブな衝突だと、「どちらの方が面白いか」のような衝突も起こったりします。
どちらも解決する方法は話し合うことだけだと思っていて、トップダウンで「いいからこれでやる!」みたいにならないように意識しています。
ーーどんどん意見が出たらその都度話し合って、みんなが納得して進めるイメージですかね。
田口氏:全員が100%納得している状態を作り出すのは難しいですが、できるだけ多くの人に納得感を持って開発に取り組んでほしいとは考えています。メンバーの納得感を重視した進め方は時間がかかってしまうこともありますが、結果的にはそのほうがタイトルのためにもなる気がしています。
ーー「ものづくり=ゲーム開発」に打ち込めるように工夫している取り組みがあったら教えてください。
田口氏:二つ工夫していることがあって、一つ目がハード面、二つ目がソフト面の工夫をしています。ハード面はオフィス環境や使用するPCだと思っていて、どれだけ居心地よく仕事できる環境を整えられるかに力を入れています。ゲーム開発は90%くらいが座り仕事になるので、自席でどれだけ居心地よく集中できるのか、PCを換えることで生産性がどれだけ上がるのかを話し合ったりしています。もし生産性が上がるのなら、コストをかけて整えていきます。
ソフト面に関しては、話しやすい環境を作ることですね。コミュニケーションツールを使って、心の壁を取り払う工夫ができるように常に気をつけています。
ーー真摯にもの作りをするうえで、どのように妥協しない姿勢を浸透させているのでしょうか。
田口氏:僕は以前「人は背中を見て育つ」と思っていたのですが、みんなが見ていないところで頑張っても背中が見えるわけではないので、今では直接言葉にしないと伝わらないと思っています。妥協しない姿勢とは、細かい部分を伝え続けたり、ぶつけ合うことだと思うので、打ち合わせの時に自分の意見を全て吐き出すことを意識してもらっています。
家のような居心地の良いオフィス!?気になる職場環境や福利厚生は?
ーー公式サイトにオフィスツアーのページを掲載していると思います。働く環境を全面的に見せてくれるゲーム会社は少ない中、なぜ作られたのでしょうか。
田口氏:これには二つの理由があって、メンバー全員が現在のオフィスを気に入っているので自信があることと、入ってくれる方に入社後のイメージを持ってもらいたい思いがあります。当社は何回か移転をしているのですが、最初はオフィスを綺麗にする理由はないと考えていました。しかし、回数を重ねるごとに「オフィスが綺麗なのっていいですよね」という意見を聞くようになり、そこから居心地が良くて気持ちよく仕事に打ち込める環境が大事だと考えを改めて、綺麗なオフィスにしようと心がけています。現在のオフィスは、家にいるような感覚で仕事ができるオフィス設計にしています。
例えば、家を引っ越す時は必ず内覧をしますよね。オフィスにも同じことが言えると思っていて、実際に働いているイメージを持ってもらいたいので、採用時に見てもらうようにしています。入社後のギャップをどれだけ無くせるかも一つのテーマに掲げているので、公式サイトにも掲載していますね。
ーー部活動制度や懇親会費用補助など、コミュニケーションを大切にする制度が充実している印象を受けました。そこで気になったのが、プライベートでも仲が良いメンバーは多いのでしょうか。
田口氏:遊びに行った話はたまに聞くので、プライベートで趣味の合う人と一緒に遊んでいるメンバーは多いです。僕もよくメンバーと一緒にキャンプや登山、マラソン大会、サッカーに行ったりしています。
ーーかなり仲が良いんですね!職場ではどんな雰囲気なのでしょうか。
田口氏:真面目なメンバーが多いので、職場だと仲が良さそうには見えないと思います(笑)話す時はカフェや会議室を取って会話をしていることが多く、軽い仕事の話は自席でしているメンバーもいますが、雑談しているメンバーは多くないですね。僕は「どんどん話しなよ」と言っているのですが、真面目に仕事をするメンバーが多いので仕事中は静かだと思います。
ーー資格取得や研修制度があると目にしたのですが、どのような資格を取ることができるのでしょうか。
田口氏:明確なルールはないですね。資格の取得や補助は、申請してもらって会社がいいなと思ったら、費用を補助する形式になっています。条件も明確じゃないので、相談ベースでその都度考えています。
ーー自由度が高いんですね!現在はリモートワークと出社のハイブリッドな働き方だと思うのですが、導入の経緯や印象に残っているエピソードを教えてください。
田口氏:現在の働き方のきっかけになったのは、やはりコロナ禍ですね。最初はうまくいかないと思っていたのですが、リモートワークでも想像の何倍も仕事に打ち込んでくれて、かなり驚いたのを覚えています。リモートワークで良い結果がついてきているのも、みんなが努力してくれた結果だと思っていますし、僕自身もメンバーを信用しきれていなかったと反省したエピソードですね…(笑)
また、ハイブリッドな働き方になった時は、日を分けて出社する形式にはしたくなかったので、出社する時は全員出社、在宅の時は全員在宅にしています。会えないメンバーが出てきたり、情報の伝わる粒度に差が出てきたりするので、不公平感や出社日によって差が出ないようにしています。
この働き方にして最初は反発されると思っていたのですが、みんなあっさりと受け入れてくれました。今では、結婚しているメンバーだと家族と食事を取る機会が増えたという話が聞こえてきて、本当によかったなと改めて思っています。
少し不満が出たとすれば、金曜日を出社日にして飲みに行きたいという声が出たくらいですかね(笑)木曜日に出社して金曜日が在宅だと嬉しい、金曜日は土曜日が休みなので嬉しいですよね。合計2回の嬉しいが待っているのが、月金をリモートにしている良いところだと思っています。
ーー福利厚生の中で、特にメンバーに人気のあるものを教えてください。
田口氏:福利厚生とは少し違うと思うのですが、社員旅行が人気だと思います。良いホテルに泊まって、運動会やゲームイベント、宴会などをやったりします。しっかり計画して実行に移すので、フリー時間がなくて大変という声もあるのですが、なんだかんだすごく楽しんでくれています(笑)
ーーみんなで旅行って楽しそうですね!他に取り入れたい福利厚生や制度はありますか。
田口氏:メンバーのみんなから、住宅補助や近隣手当を導入して欲しいという声も上がっています。その都度検討をしているのですが、すぐに追加したいと考えてはいないです。僕の考え方になるのですが、全メンバーに恩恵のある制度を追加したいという思いがあります。なので、導入するまでにじっくりと吟味して、導入をするのかしないのかを考えています。
読者に向けて一言
ーー最後に就職活動や転職活動をしている方に向けて一言お願いします。
田口氏:当社はあまり社名を表に出さないのですが、ものづくりに真摯に取り組んでいる会社だと思っています。現在も新規タイトルを作っており、必死に良いものを作りたい、楽しみながら良いものを作りたいというメンバーが多く在籍しています。世の中にゲームを届けられて、ワクワクしてもらえるようなものを一緒に作ってくれる人が一人でも増えたらと思っているので、ぜひ興味がありましたら応募してください!
ーーお忙しい中、ありがとうございました!
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[取材協力:株式会社f4samurai]
(編集・執筆/ゲーム山本)