7月14日から開催中のBitSummit2023での一般公開に先駆けて、グラビティゲームアライズの新作タイトルをまとめて遊ぶことができる試遊会が行われた。ゲームエイトでは2日間に渡ってこちらの試遊会に参加し、新作タイトルを大量にチェックしてきたので、今回はその中から、特に注目したい7タイトルをかいつまんで紹介させていただく。BitSummitに参加予定の方は、会場に出向く前にぜひご一読あれ!
※本記事の内容はいずれも開発段階のものです。正式版と内容が異なる場合があります。
スタイリッシュ死にゲーにまさかの続編|ALFT4-2
まず1本目にご紹介するのは、変態ゲーマー(褒め言葉です)の間では有名なALTF4の続編である『ALFT4 2』だ。甲冑の騎士がアスレチックのようなデストラップを乗り越えてゴールを目指すという非常にシンプルな内容ながら、やたら軽快なBGMと高難易度を通り越して理不尽としか言いようがないトラップの数々に、怒りやら笑いやらが噴出すること請け合いのゲームだ。なぜ騎士なのか、なぜすぐに死んでしまうのか、そんなことは考えるだけ無駄である。考えるより先に走れ!そしてしかる後に死ぬのだ。
突然突っ込んでくる車(!?)、宙を舞うサメ(!?!?)、微妙に届かないジャンプや亜空間からの当たり判定など、前作を楽しんだプレイヤーでもそうでなくてもワクワクできる要素がもりだくさん。ワンプッシュですぐ死ねる自殺ボタンも(なぜか)あるため、スタイリッシュな「YOU DIED」を求めるプレイも可能だ。ちなみに死体は次機プレイ時にもその場に残るため死体トロフィーも作れる。なお、前作『ALFT4』もsteamで300円程度なので、クスッときた方はまずこちらを触ってみるのもいいかもしれない。
「ままならなさ」がクセになる操作性のパズルアクション|Wetory
もうちょっと普通に楽しめるゲームはないのか!?と思ったそこのあなたにおすすめしたいのが、こちらの『Wetory』。小部屋の連なったダンジョンをひと部屋ずつ探索しながら、新しい能力などを入手していく探索ローグライク風のあるゲームなのだが、なんとこのゲームには「攻撃」というコマンド操作がない。ではどうすればいいのかと言うと、主人公の通った道からインクが吹き出し、それをうまく誘導してぶつけることで攻撃になる、という仕組みなのだ。
インクは主人公の方へ向かって来るため、常にインクがどんなルートを通るのかを考えながら移動する必要がある。①インクを出す→②敵の攻撃を避ける→③インクを誘導する、という他のゲームとは一線を画す独特の操作感はパズルゲームのようでもあり、やってみるとわかるのだが、考える要素が多く本当に難しい!インクの飛び方などに強化を施すこともできるが、それにしてもちゃんと考えなければなかなか敵に当たらず、特にボスとの戦闘はなかなかシビアだ。そのぶん、操作のコツがわかったときの面白さも大きく、歯ごたえのあるゲームを求めるプレイヤーにおすすめしたい一作だ。
一寸先は肉!キュートでダークな残酷ブタ物語|Pigromance
続いて紹介するのはキュートな見た目のブタたちによる大脱走の物語『Pigromance』で、公式曰く「ソーセージになる運命を持って生まれた雄豚のロマンス」だ。プレイヤーは1匹の仔ブタとなって屠殺場を脱走し、パズル要素のある障害物をちょっとだけ頭を使って突破していく。2Dの横スクロールタイプのゲームという点では、死にゲーとして有名な『LIMBO』に似ていると言えばイメージしやすいだろうか。あちらはワンミスで主人公がエグい死に方をするというダークな作風のゲームだったが、ダークさという点ではこちらもどっこい、なんと「肉」にされるのである。
というのもこのゲーム、後ろから追いかけてくるおじさんに捕まると即ゲームオーバーで、その場でブタさん☆解体ショーが始まってしまう。かわいいポップな絵柄もあってグロさはまったくないのだが、プレイしているとだんだんブタの気持ちになってきて、顔色一つ変えずにこちらを肉に変えるおじさんがめちゃくちゃ怖くなる。ただしアクション要素は強くなく、ソーセージにされてしまった場合もオートセーブで直前の箇所から再開できるため、苦手なひとでもノーストレスでプレイできる。というか死→復帰のペースが早いため、謎の中毒性があってなかなかゲームをやめられない。ちょっぴりホラーな雰囲気ををライトに楽しみたいプレイヤーにぜひおすすめの一本だ。
家族と!友達と!恋人と!大騒ぎしながら楽しめるハッピーな協力アクション|River Tails
ここまで1人用のゲームばかりご紹介してきたが、次の『River Tails』は2人用のゲームだ。これは非対称協力アクションとでも呼ぶべきゲームで、2人のプレイヤーがそれぞれ魚と猫を操作して川沿いの道を冒険していく物語だ。魚が進めるのは水の中だけ、猫が進めるのは陸の上だけであり、それぞれがステージ上のギミックをタイミングよく発動させなければ先に進めないようになっている。魚が水上に足場を作り、猫が川の中の障害物を陸に引き上げる……など、とにかく連携が大事で、単純にうまい側がもう一人をキャリーして進む、ということはできない。
しかしそのためお互いが常に声を掛け合う状況が必然的に生まれ、「一緒にプレイする」という体験が非常にビビッドに得られるのだ。うまく連携してギミックを発動させられると最高に楽しい。難易度もふだんあまりゲームをやらないような人でも遊べるくらいに調整されており、友達同士はもちろん、親子や夫婦、恋人同士でやるのにもおすすめだ。たぶん今回の試遊会で筆者が一番大騒ぎしながら遊んでいたのがこれだと思う。現在steamでアーリーアクセス中であり、Remote Play Togetherなどを使えばオンラインでも遊べるとのことなので、Discordなどで遊ぶのにも良さそうだ。
ファンシーでちょっと不思議な世界を旅せよ!|深淵の小さな存在
次に紹介する『深淵の小さな存在』はちょっと仰々しいタイトルとは裏腹に、やさしく穏やかな雰囲気の1人用探索アドベンチャーゲームだ。軽めのアクションとちょっとした謎解き要素のあるゲームながら難易度自体は易しめで、アクション操作が苦手な人であってもステージクリアはそれほど難しくはない。どちらかと言えば、イラストやステージなどの持つ雰囲気を味わうことが目的であり、まるで絵本の中に入ってしまったような感覚を楽しめるだろう。
というのもこのゲーム、ミネルヴァのフクロウでも有名な哲学者ヘーゲルの「心を開くノブは内側にある」という言葉にインスパイアされたものらしく、登場するステージは様々な心の感情をイメージしたものなのだという。ビジュアルは柔らかな色合いの絵本のようなイメージだが、ただ優しいだけではなく、ステージによっては物悲しい調子のBGMと相まってどこか不安げな印象を受ける場所もある。イラストやステージの雰囲気が気になった方は、ぜひ味わってみていただきたい。
世界を広げ、世界を創るRPG|神箱
今回ご紹介するゲームの中でもとりわけ注目度の高い作品が、次に挙げる『神箱』だ。「ワールドクラフトRPG」ジャンルを謳う本作には複数のゲーム要素が複合しているのだが、とにかく旅をするのが楽しい作品に仕上がっている。本作の世界は、古いRPGなどのように一枚の大きなマップで表現されているのだが、未探索地点は紙の地図のように表現されており、実際に訪れてみることで初めてその場所の詳細がわかるようになっている。このマップを隅々まで探索する、世界を広げていく感覚が本当に面白い。
マップ上では何もしなくても時間が経過し、また季節の概念まであるため、時々に応じたイベントなども発生する。また長旅には食料の供給も欠かせないが、当然ながら拠点となる町から離れるほど、旅は難しいものになる。そこで本作では、マップ上に新たな拠点となる町を創ることもできる。様々な施設を配置しておくことで、冒険に必要な資源や食料などを提供してくれるようになるのだ。もちろん、武器のような身近に必要なアイテムを創ることも可能だ。広い世界には仲間になってくれる可能性のあるキャラもおり、旅の道中でのキャンプで彼らの話を聞くのも面白い。
またマップ上には「断片化」という異常事態が起こっている箇所もあり、そういった場所は主人公のもつ能力で修復していく必要もある。本作のメインシナリオはこの「世界を修復する」ことなのだが、いわゆる一本道のおつかいクエスト方式ではなく、世界を旅する中で少しずつ先が開放されるようになっている。翻って言えば自由な冒険を楽しめるようになっているというわけだ。ランダム生成されるダンジョンで強力な装備を探したり、強敵との戦いを通して経験を積んだり……とほかにも紹介したいことは山程ある。自分の手で世界を広げていく感覚が好きな方は、ぜひ遊んでみて頂きたい作品だ。
刑事ドラマのような最高のリアル捜査を体験せよ!|東京サイコデミック
今回のレポートのトリとしてご紹介する『東京サイコデミック』は、一言で言えば超本格の科学捜査アドベンチャーだ。本作は現実とは少しズレた歴史を辿ったIFの東京を舞台に、相棒となる「紅葉巴杏」らのキャラクターとともに、証拠や映像を探し、不可解な事件の捜査を進めていくゲームだ。そして本作ではこの「捜査」の手触りが非常に濃厚であり、ミステリー小説や刑事ドラマの中に入り込んだような感覚が掛け値なしに味わえる。
例えば捜査パートでは、写真を拡大して証拠を探したり、監視カメラの映像から被害者の足取りを探ったりといった非常に地味で地道な作業から始まる。非常に地道なのだが、なんとこれがめちゃくちゃ面白い。というのも、ミステリーファンなら間違いなく「これドラマでみたやつだ!」という感覚になるからだ。捜査資料に使われている映像が実写ということもあって、ゲームに対する没入感はものすごく高い。自分が見つけ出した証拠が、被害者や証拠などの写真・関連資料をまとめたエビデンスボードに貼られたときの喜びはえも言われないものだ。
また本作は、現実のcovid-19をモチーフにしたらしき未知のウイルスが蔓延したあとの世界を舞台としており、この世界では非常に不可解な……言い換えれば超常的な現象であるかのように見える事件が続出している。体験版でプレイできる事件もそうなのだが、こうした不可思議な現象をどのように説明付けるかも、本作のポイントの一つなのだという。本作については別記事でも詳しく紹介しているため、内容が気になった方は、ぜひそちらもご一読いただきたい。
(編集・執筆/ena)