リリース以来根強い人気を誇るボードゲーム『街コロ』に、姉妹版となる新作『街コロライフ』が発売された。今回はゲームエイトの取材部メンバーがその最新作を遊ばせていただくことができたので、その模様をお届けする!
あの「街コロ」が装い新たに再登場
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みなさんは「街コロ」というボードゲームをご存知だろうか?街コロは2015年に日本のボードゲームとして初めてドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres) にノミネートされた作品で、自分の街に様々な施設を建設し、そこから得られる収益(コイン)を使ってさらに街を発展させていく……というゲーム。最終的に他のプレイヤーよりも早く4つのランドマーク施設を建設できれば勝利となる。
と言っても、自分の街が発展するのを見るだけで面白いため、勝敗は二の次になって理想の街を作る ことに夢中になることもしばしば。ルールが簡単で他のプレイヤーにアドバイスもしやすいことなどから、家族で楽しんだりすることにも向いていて、ボードゲーム初心者に向けた最初の一本としてもつかいやすいことも特徴の一つだ。
今回はその「街コロ」をベースにした新たなボードゲーム『街コロライフ』をゲームエイトの取材部メンバーで試遊させていただくことができたので、さっそくご紹介していこう。
今度の街コロは「夢」を実現するボードゲーム!
ena:
ということで今日はなんと、『街コロライフ』の制作ディレクター、菅沼さんにお越しいただいています! 以前にも
デジタル版街コロのインタビュー をさせていただきましたね、今回はよろしくお願いします!
菅沼:
よろしくお願いします。基本的なルールは『街コロ』を遊んでいただいた方にはわかりやすいと思いますが、新しいルールなどもあるので、私の方からインスト(ルール説明)をさせていただきますね。
ゲ山:
ゲーム山本です。今日はよろしくお願いします!僕とやまDさんは実はボードゲーム自体初めてなので、そのへんの視点からみなさんに声をお届けできればと思います。
やまD:
ディレクターのやまじです。同じく私も今回がほぼ初ボードゲームです。やったことあるのは人生ゲームくらいですね。
ena:
でも今回の『街コロライフ』はまさに人生ゲームみたいな雰囲気ですよね。
菅沼:
そうですね。題材もそうですが、基本の街コロと比べても、逆転要素なども追加されていて、プレイヤー同士のやったりやられたりが多くなっていると思います。
やまD:
カードに書かれている「夢」がすでに豪華でステキですね。「インフルエンサー」とか「プライベートジェット」に「宇宙旅行」まで!
ena:
なんかその3つだと
Z◯Z◯の社長みたいになりそうな感じ ですねえ。これはぜひ実現してみたい。
菅沼:
今回の『街コロライフ』ではこの黄色の
「夢カード」の右上に書かれている星の点数をさきに8点集めた人の勝利 となります。『街コロ』のランドマークに当たるものですが、どれでも好きなものを選べるので、ぜひすてきな人生を目指してやってみてください。
ゲ山:
我々も普段は夢のない生活を送っているので、こういうところではパァーッと一山当てたいですね。
菅沼:
『街コロ』はさまざまな施設を建設していくゲームでしたが、この『街コロライフ』はその代わりに「生活カード」というものを集めていきます。ダイスを振って、カードの上に書かれている数値が出ると、下に書かれている効果が発動します。
菅沼:
例えばこの「推し活」カードなら、誰かがダイスを振って「2」の目を出せば、自分がハートを1個獲得できるっていう効果ですね。
ena:
そのあたりは『街コロ』と同じですね。街コロではカードの効果でコインを稼げましたが、『ライフ』ではハートなんですね。なんかこう、人生を充実させていくって感じかな。
やまD:
カードの左の方に書かれているハートはなんですか?
菅沼:
そちらは
カードの購入コスト です。各プレイヤーは毎ターン、ダイスを振ったあとに、カードを1枚だけ購入することができます。まずは「生活カード」を購入してたくさんのハートを得られるような準備を整え、購入コストの高い「夢カード」を集めていく、といった流れをイメージしてください。
こちらがダイスですね。ダイスは2個あって、出た目の数は毎回足してください。なので、1個だけ振るか、2つとも振るかで数字の出やすさは変化 します。
例えば、ダイスを2つ振るなら合計が「1」には絶対になりませんよね。みなさんにお配りしているリファレンスカードにはダイスを振ったときの確率表もついているので、気になる方はそちらも参考にしてください。
やまD:
おお、これは便利そう!確率だけじゃなくて、どの出目がでればなんのカードの効果が発動するかも見られるんですね。
菅沼:生活カードにはざっくり3つの種類があって、色ごとに特徴が分かれています。緑色のカードは
自分がダイスを振ったときだけ 効果が発動するのですが、これが青色のカードなら
誰がダイスを振ったときでも 効果が発動します。一方で、赤色のカードの場合は
その目を出したプレーヤーからハートを貰う(奪う)ことができる 効果ですね。
ただ、例えばこの「カフェ経営」カードなら、この食事マークのあるカードを自分が持っていないと効果が発動しません。逆に言えば、自分が食事マークのカードを持っているほど、多くのハートを獲得できるチャンスになるんですね。
ゲ山:
調理経験を重ねていくことで経営するカフェでも高級な料理を提供できるようになる、みたいな感じか!なるほど!
ena:
他プレイヤーをカフェイン漬けにして収入源にするプレイング楽しそう。
菅沼:
カードは裏面の種類ごとに4つに分けて並べます。裏面はそれぞれ「星2〜6の夢カード」、「星1の夢カード」、「1〜6が出たときに効果が出る生活カード」、「7〜12が出たときに効果が出る生活カード」に分かれています。すでに場に出ているものと同じカードが出たら、その上に重ねて大丈夫です。
ゲ山:
この紫色のカードはなんですか?
菅沼:
紫色のカードはちょっと特殊なカードで、自分のターンでしか発動しないんですが、特別な効果があるんですよ。
ena:
まあ細かいところはやっていけばわかるでしょう!それじゃあ早速プレイしてみますか!
積み上げろ人生!自分の理想を追求するのだ!
菅沼:
最初に各プレイヤーさんにハートを5つずつ配るので、ダイスを振る前に3枚までのカードを獲得できます。みなさん順番にお好きなものを選んでください。
ゲ山:
どうしよう、迷うな〜
やまD:
いろんなカードがあってもう既に面白い(笑)僕はあんまりわからないので、自分の趣味全開で選んでみようかな。
ena:
効率の良いカードを探したくなる衝動と、
「いやでもそれは自分の人生じゃないな」 っていう葛藤が戦ってしまうな……
ゲ山:
めんどくさい人だなあ(笑)
ena:
強いのかどうかはわからないけど、どうしてもカフェ経営がしたくなってしまうんだよ。よっしゃこれが俺の人生だ!
やまD:
いやスポーツは嘘でしょ!
ゲ山:
初っ端からenaさんの人生じゃない(笑)
ena:
いいんだよ!本当はこういう人生を送りたかったの!こうやって自分の理想の人生を目指していけるのが楽しんだよ!
菅沼:
全員の初期カードが揃ったら、時計回りに各プレイヤーさんのターンを進めていきましょう。自分の番になったらまず1回ダイスを振って、効果が発動すればハートをもらえます。それからターン毎に1枚までカードを購入できますよ!
やまD:
引かれたカードはすぐ補充されるから、どんどん新しい選択肢が増えてきて面白いですね。そしてやっぱり人によってだいぶ人生の方向性が違う(笑)
ゲ山:
戦略もあるだろうけど、人によって選んだカード差がすごい!やまDさんのやつとかめっちゃ本人って感じだもん!
ena:
「ジム」に「食べ歩き」、「スポーツ」「旅行」……なんだこの
丸の内OLみたいな人生 。
やまD:
それは丸の内OLに対する偏見ですよ!まあでも確かに僕は完全に自分の趣味で選んでますからね。
ゲ山:
青色のカードで揃っているので、他の人のダイスでもハートが得やすくなっていますね。あ、だから9とか11を出さないように自分の番にはダイスを1個しか振らないっていう戦略もあるのかな。
ena:
自分の持っているカードとの兼ね合いもあるからなかなか難しいけど、他の人のカードも全部見れるから、結構いろんなことが考えられるよね。
やまD:
おっ、新しい紫色のカードだ!これはどんな効果なんですか?
菅沼:
これが『街コロライフ』特有の逆転要素ですね。「運命のいたずら」は自分の番に6が出れば、
このカードを他プレイヤーの好きなカードと交換できる 、という効果を持つカードです。しかもこれは生活カードだけではなく、夢カードとも交換できます。
ena:
ええっ!なにそれめっちゃ強そう!6はダイス1個でも2個でもだいたい1/6くらいの確率で出るから、もってればどこかで1回くらいは発動する感じなのかな。
やまD:
しかもこれ、夢カードとも交換できるってことは「子供」とか「パートナー」を取られることもあるってこと!?
ゲ山:
大丈夫ですよ。よく見てください、「子供」も「パートナー」も所持枚数に制限はありません。
つまり取られても平気なくらい持っておけばいい んです。
ena:
寝取られ前提のハーレムなんて嫌すぎる。
ゲ山:
まあなんでも交換できるってことなんで、実際にはもっと強力なカードが狙われそうな気がしますね。
菅沼:
一応「運命のいたずら」を防ぐ手段もあって、ほかのカードにセットできる
「友人」カードをつけておくことで、「運命のいたずら」ではカードを取られなくなります 。ただこれをセットできるのは生活カードだけなので、夢カードを取られる可能性は潰せないんですよ。なので、最後まで何が起こるかわかりません。
ゲ山:
怖いな〜。まさに運命のいたずらって感じかあ。
やまD:
なるほど……。じゃあ私は早速この「友人」に「投資」を守ってもらおうかな。
ena:
こ、この人いつの間にか投資で大成功して宇宙旅行に行ってやがる!
ゲ山:
なんで人間ってやつは金を持つと宇宙に行きたがるんだ!
菅沼:
「投資」はまさに言葉通り、事前にいくらかハートを支払っておくと、ダイスで10の目が出たときにリターンがもらえるというカードですね。確率としては3/36なので、そんなに出るわけではないのですが……
やまD:
なんか今回めっちゃ出てます(笑)
ena:
この人絶対裏でなんかやってるでしょ。
ゲ山:
”相場に詳しい友人”のアドバイスでボロ儲け……インサイダーかな?
菅沼:
宇宙旅行と友人ですでに4点。8点先取すると勝利なので、勝利条件までもう折り返しですね。
やまD:
そう考えると結構展開が早いですね。ゲームを始めて……20分ちょっとくらい?40分もあれば全然1ゲーム終わりそうですね。
自分の理想の人生なら勝ち負けとかどうでもいいのでは?
ena:
だめだ〜!自分としては結構いい感じの人生になってきたけど、夢カードが全然手に入ってない!
やまD:
趣味の料理や食べ歩きが高じてカフェを開く傍ら、創作活動をしながらイベントに出展……
間違いなく人生は楽しんでそう (笑)
ena:
このカフェ、出してる料理は自信作なんだけど、みんなが全然6を出さないから収入が少ないんだよ〜。閑古鳥が鳴いている。
ゲ山:
マーケティングに失敗してる(笑)僕もそろそろ配信者としての活動がバズるはずなんだけど、なかなか難しいですねえ。
ena:
やっぱり誰がダイスを振ってもハートがもらえる青色カードで数字を並べたほうが良かったかな。
ゲ山:
コスト0で購入できるカードもたくさんあるので、持ち札を増やすこと自体はできてるんですけどねえ。
菅沼:
戦略としては良くても、やっぱりダイス運もありますからね。
ena:
菅沼さんも静かに着実に点を伸ばしていますね。
ゲ山:
ファッションに興味があり、パートナーと一緒にセレクトショップを経営、時折ホームパーティを開く……
やまD:
めっちゃ堅実な人生って感じだ……!さすが開発者さん!
ena:
投資で一山当てた一発屋とは違いますねえ。
やまD:
と、そんな感じでゲームは進行していたんですが、私が8点に到達しました!勝利です!
ena:
「宇宙旅行」を行い、「インフルエンサー」かつ「ホテル王」 !めっちゃ豪華な人生だ……!
ゲ山:
こういう成金いそう〜〜!
やまD:
いやあ、楽しませていただきました(笑)投資と旅行がけっこう出てて、この二つでかなり人生が充実した気がします。
ゲ山:
僕はジム通いしながら友人と一緒にコラボ配信活動に勤しんでましたね。ただダイス2個振る機会が多かったから「創作活動」のカードが活かせなかった……。
ena:
ゲームとしてはダイスを1個振るのか2個振るのかを決められるっていうのは、結構重要だった気がするね。少なくとも自分のダイスでしかハートが貰えない緑カードの数値は偏らせたほうが良さそう。
ゲ山:
あとは、もっといろんな数値でハートがもらえるようにすればよかったかもしれないですね。一部のカードをたくさん取ったせいで、当たればデカいけど当たるまでが遠かった。
やまD:
でもこうして見ると、みなさんいい感じに楽しい人生になってそうですね!
ena:
それはそう!面白かった!閑古鳥の鳴く喫茶店のマスターになるのは人生の最大の目標の一つだったんだよ。
やまD:
閑古鳥が鳴いてていいんですか?(笑)
ena:
ギリギリ黒字くらいの経営状態でのんびり読書でもしながら客待ちしたい人生だった。やっぱこれ、勝敗とかあんまり関係なく理想の人生構築ゲームとして楽しかったな。
ゲ山:
人生ゲームっぽい感じもありましたけど、生活カードを集めて人生を楽しんでいくっていうのがすごく良かったですね。僕もバズってインフルエンサーになりたかった。
菅沼:
たくさんの「夢」が達成できるので、毎回いろんな生活カードを集めながら、ぜひご自身の理想のライフを探してみていただけると!
やまD:
私もボードゲームは初めてだったんですけど、シンプルに「面白い!」っていう感想です。これ、お正月休みに奥さんとかと遊んでみようかな。
ena:
良いと思います!ボードゲーム文化って、ドイツを中心としたヨーロッパ圏で盛んなんですけど、やっぱり家族で楽しむものっていう位置づけのものが多いみたいなんですよね。昔従兄弟と遊んだときに、向こうの親御さんにもすごく喜ばれたりしました。
ゲ山:
じゃあせっかくなんで、もう1プレイくらいしましょうよ!今度は僕も投資で荒稼ぎしてやろうかな!
※本文中では敬称、肩書省略
街コロライフについて
[取材協力]グランディング
(編集・執筆/ena)