2025-04-24

【インタビュー】本格ミステリーが長き時を経て現代に蘇る!colyが贈る『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』のプロデューサー・狩野直士氏に直撃インタビュー!

2025年4月24日(木)に株式会社colyからリリースされた『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』。昭和を代表するミステリーが令和の現代に色鮮やかに蘇り、新感覚のミステリーパズルノベルゲームとして楽しめる仕上がりになっている。そんな本作のプロデューサー・狩野直士氏に開発の経緯や印象に残っているエピソード、本作の魅力についてインタビューしてきたので、ぜひ最後までチェックしてみて欲しい。

自己紹介

━━まずは読者の方に向けて自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。

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狩野直士氏(以下、狩野氏):株式会社colyでCC(カジュアルコンテンツ)事業本部の本部長を務めている狩野直士と申します。2024年3月に入社しまして、4月24日(木)にリリースした『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』のプロデューサーを担当しています。

colyに入る前は某ゲーム会社に勤めていて、コンシューマーゲームやモバイルゲームなどのプロデューサー、ディレクターを担当していました。色々なゲームを作ってきたのですが、主にマッチ3パズルゲームをファミリー向けに開発する会社で働いていたので、日本だと珍しい経歴を持っているかもしれません。

━━ありがとうございます!現在担当している業務についても教えていただけますか。

狩野氏:現在所属しているCC事業本部では、これまでのcolyの強みを生かしつつ、Steamなどスマホアプリ以外のプラットフォームでのゲーム開発にも挑戦しています。今回の金田一もそうなのですが、他にも複数のコンテンツを用意している最中になりますね。

━━細かくご説明ありがとうございます!よろしくお願いします!

新たな領域へ挑戦!本作の開発裏話が驚きだった!?

━━どのような経緯で新しい分野に挑戦することになったのでしょうか。本作の開発に至るまでの経緯や理由を教えていただけますか。

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狩野氏:当社は主に女性ユーザー様に向けたキャラクターゲームの開発・運営をしています。『スタンドマイヒーローズ』『魔法使いの約束』『ブレイクマイケース』などを主力にしており、ゲーム運営を中心に商品化やイベントを開催しIPとして幅広くサービスを展開しています。最近はより多くの女性の方が、様々なゲームをプレイするようになってきているので、我々も女性ゲームユーザー様をコアターゲットにしながら、より幅広いエンタメを提供したいと思っています。

━━最初からミステリーノベルを作る予定だったのでしょうか?

狩野氏:実は最初からミステリーノベルを作ろうという話が上がっていたわけではなく、様々なプラットフォームでゲームがリリースされている中、当社も新しい形でチャレンジをしてみようと議題に上がったのが始まりです。既存の枠組みで運営しているモバイルゲームや国内中心のゲームビジネスではなく、未開拓のプラットフォームや分野に対してのチャレンジです。

その時にまず案として上がったのが、SteamやSwitchの定価販売の分野で当社の強みを活かせるゲームを作れないかということです。当社のゲームは、ありがたいことに多くのお客様から評価をいただいているのですが、中でも当社のゲームのストーリーについてすごく高く評価をしてくださっています。その部分の強みを活かす方法を考えた時に、アドベンチャーゲームやノベルゲームなら成功できるのではないかと仮定しました。

その時に幅広い層が楽しめるミステリー、特に「怖いもの見たさ」のような欲求や感情を上手くゲームに落とし込めれば、新しい分野にチャレンジできるとスタートしたのが始まりですね。

━━ターゲットへの解像度が高まったからこその発想ですね。新しい分野に挑戦する際に、社内からはどのような声が上がりましたか。

狩野氏:これは結果的にですが、本作はひっそりと開発を進めている状況になってまして。ゲーム開発中は、事業部のメンバーにも私から軽く報告しているレベルでした。当社でもあまり事例のないゲームでしたので、不安視されていた部分もあると思います。

社内のメンバーには、開発終盤にいきなりPV形式で共有したので、かなり驚かれましたね(笑)

社員にとっては「いきなり新作ゲームが現れた!」みたいな感覚だったと思います。ただ思いのほか評判が良く、サプライズが成功しました(笑)

━━そんなことがあったんですね!開発の際に印象に残っているエピソードはありますか。

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狩野氏:基本的にゲームはプロトタイプを作ってα版、β版を作っていきます。その過程でボリュームも増えていきます。本作もプロトタイプでは、15分くらい遊びが体感できるもので作ろうと考えていたのですが、作ってみるとなかなかうまくいかない。ストーリーも序盤のみだったはずが、序盤だけでは良くわからない、という状況でした。

あれやこれやを議論しながらプロトタイプ開発を進めていったら、結局本番に近いボリュームになってしまいました(笑)。社内レビューでも驚かれましたね。十分に遊べるものになってましたし。

もちろん最終版はプロトタイプからは大きく進化したものになっていますが、最初にやりすぎたかな、と今でも思っています。開発メンバーは半分泣いてました(笑)。

━━プロトタイプでそこまで…(笑)逆に苦労したエピソードはありますか。

狩野氏:開発中の苦労したエピソードは、キャラクターデザインでぶつかりが発生したことです。最初に私がイメージしていたデザインと少し違ったのですが、様々な関係者に見せると思ったより評判が良く、その段階では私自身が多少不安に思いながらも、そのデザインを採用して進めました。その後、キービジュアル制作で、このデザインを生かしたものに仕上げていく段階で、気が付いたらすごく気にいってました(笑)。「彼岸花」や「黒猫」「謎の少女」はすごく印象に残る画に仕上がったと思います。最初は実写寄りのデザインの予定でしたが、デザイナーさんが熱烈に推してきた、現代アニメ風の画風にして良かったです。

最近では昭和レトロが見直されてきており、一部ではすごく人気があります。金田一耕助の時代は昭和なので、味があって叙情的な昭和の雰囲気を絵で表現できたと思います。

なぜ「金田一耕助シリーズ」を採用したのか?独特なゲームシステムも採用!

━━数多のミステリーの題材がある中で、なぜ「金田一耕助シリーズ」を選んだのでしょうか。

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狩野氏:私が「金田一耕助シリーズ」のファンなのが第一にあります(笑)。日本を代表するミステリー小説として、そして文学として、重々しい題材を使っている側面もありますが、小説として本当に読みやすく文章も美しいので、当時の日本の雰囲気をうまく表現しているシリーズだと思っています。

また「金田一耕助シリーズ」は、とにかく怖いんですよ。ただその怖さの中、目を覆いながらも思わず見てしまう、そういう魅力もあります。その中でも金田一耕助の探偵として最初の事件である『本陣殺人事件』は、ストーリーもとにかく面白いですし、登場するキャラクターもとても妖しく魅力的な人物が多いので、最初に思い浮かびました。このミステリーの世界的名作を、ゲームにできたらと考えたのがきっかけです。

━━確かに面白い作品ですよね!僕も好きです(笑)本作のコンセプトやゲーム性を教えていただいてもよろしいですか。

狩野氏:『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』は、ミステリーパズルノベルゲームというジャンルです。パッケージに小説探偵の文字が入っているのですが、小説を探偵のように読み進めていくことをコンセプトに開発しており、ゲームをプレイしながら文章を読み進めることが楽しいゲームデザインにしています。そのコンセプトに沿いながら、バラバラになっている登場人物の証言をまとめて繋ぎ合わせていくと、お話が成り立つゲームに仕上げています。簡単に説明すると、文章を使ったパズルゲームのような感じです。

━━自分の中でどんどん謎が解けていくゲームなんですね!

狩野氏:そうですね!謎が解けて物語が組みあがっていく感覚を味わえると思います。また、すでに公表していますが、私自身韓国のインディーゲームクリエイターであるSOMI氏の『未解決事件は終わらせないといけないから』(韓国名:미제사건은 끝내야 하니까)をプレイして感動しまして。そこから着想を得ています。そのゲームの進め方に加えて、原作の魅力をより具体的に伝えるべく、ドラマシーンやグラフィック、キャラクターを登場させて映像表現を見ているようなゲームに仕上げています。

━━映画のような感覚でプレイできるんですね!金田一耕助といえばミステリーが魅力だと思いますが、どのようにして世界観をゲーム内に落とし込んでいったのでしょうか。

狩野氏:本作の「金田一耕助シリーズ」は、金田一耕助が探偵になって初めての事件のお話になります。昭和初期に作られたお話なので、キャラクターデザインを時代に合わせて水墨画調にしたり、音楽も昔の空気感を味わっていただけるように作っています。

私のイメージなのですが、現代より昔の方が空気が澄んでいて、ゆっくりと時間が過ぎている風景を思い浮かべています。そのゆっくり流れる時間の中で非日常的な事件、怖い風習をテーマした事件を楽しんでいただけると思います。

ゲームシステムやテキストの流れ方、グラフィックとサウンドなどの部分を掛け合わせて、昭和時代の空気感を出せるように世界観を作り込んでいきました。

狩野氏が本作の魅力を語る!ゲーム内にはちょっとした仕掛けも用意…?

━━狩野さんが思う本作の魅力の紹介と理由を教えていただけますか。

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狩野氏:やはり一番の魅力は登場人物から収集できるバラバラの証言を入れ替えて、繋がった時の気持ち良さやお話が分かった時の快感が新鮮な体験になると思います。

あとは、昭和時代の雰囲気を再現しているグラフィックやサウンドも力を入れて作り込んでいます。先ほどグラフィックに関してはご説明しましたが、サウンドも儚げな雰囲気や日本の美しさ、日本の魅力、日本の怖さを表現しています。二つの要素がゲームシステムと相まって、ゲームの面白さをより引き立ててくれるはずです。

━━個人的にパズルを楽しみにしています!ゲーム内に隠し要素は仕込んでいますか?

狩野氏:プレイした人に驚きを与えたいと思っているので、いくつか仕掛けはあるのですが、プレイするお客様がどう感じるか…(笑)これ以上は内緒です。プレイしてみてのお楽しみにということでお願いします。

━━めちゃくちゃ気になります…(笑)個人的にお話を聞いていると、性別や年齢を問わず幅広い方が楽しめそうだと感じています。

狩野氏:基本的には老若男女が楽しめるゲームです。意外と金田一耕助のファンの方々には女性が多いんです。当社の作るゲームとしてはありがたいことです。『本陣殺人事件』を読んだことがある方もない方も、ゲームを通して楽しんでいただけたら嬉しいですね。昭和の時代の日本の雰囲気を噛みしめながらプレイしてみていただきたいです。

あとは、昔からの金田一耕助シリーズのファンの方、普段はPCゲームをやらない方にも楽しんでいただけたら嬉しいですね!

━━僕も一ファンとして楽しませていただきます!本作をきっかけに開発するゲームジャンルを増やす予定はありますか。

狩野氏:私の所属するCC事業本部では、他のジャンルにも挑戦していこうと準備をしています。具体的な部分はお話しできないのですが、ノベルゲームといっても多種多様な形式があると思いますし、カジュアルなゲームジャンルもあると思うので、今まで挑戦できていないジャンルに挑戦したいと考えています。

colyとして、女性向けエンタメという軸は大切にしながら、まだcolyのゲームに触れたことのない方にも楽しんでいただけるような、幅広い層の方に向けたゲームを作っていきたいです。

本作も、名作である原作の素晴らしさを伝えられるように作れたと思うので、ぜひ表現に注目してみてください!

読者の方に向けて

━━最後に読者の方と『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』を楽しんでいる方々に向けて一言お願いします。

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狩野氏:今回の「金田一耕助シリーズ」はアドベンチャーゲームというより、小説を読みながら映像が頭の中に入ってくる新しい体験を楽しめるゲームです。日本の美しさや文化、魅力、儚さ、怖さなどをゲームを通して感じてもらえたらと思っています。本当に新鮮な体験が待っていると思いますので、ぜひプレイしていただけると嬉しいです!

━━ありがとうございました!

『金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件』の概要

タイトル :金田一耕助シリーズ 本陣殺人事件 販売プラットフォーム:Steam / Nintendo Switch ※ダウンロード専用 ジャンル:ミステリーノベルパズルゲーム 対応言語:日本語、英語、中国語簡体字 価格:1,500円(税込み) ※2025年5月7日までは、発売記念15%オフセールにて、1,275円(税込み) 発売予定日:Steam版 / Nintendo Switch版 4月24日(木) 原作:横溝正史「本陣殺人事件」(角川文庫) 権利表記:© Seishi Yokomizo 1973 © coly

[取材協力]:株式会社coly

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