MAKERSが初めて手掛けるゲームクリエイターコンテストイベント『DREAMSCAPE』が4月26日(金)に開催された。当イベントでグランプリに輝いた『アクアリウムは踊らない』の魅力を実際にゲームエイトライターがプレイして紹介していこう。
「次にくるインディーゲーム」を紹介・支援するプロジェクト『DREAMSCAPE』
皆さんはゲームクリエイター支援プロジェクト『DREAMSCAPE』をご存知だろうか?新たな才能の発掘、拡散を目的としており、個人や小規模スタジオが制作した「次にくるインディーゲーム」を紹介、支援するプロジェクトとなっている。
4月26日(金)には記念すべき第1回目となるオフラインイベントが開催され、40近くの応募作品を実際に試遊できる展示に加え、2次審査に選出された6作品の公開審査も行われた。
どれが選ばれてもおかしくない作品が名を連ねる中、栄えある初代グランプリに輝いたのは橙々(だいだい)さんが制作した『アクアリウムは踊らない』!
なんと、RPGツクールMVで8年の制作期間を費やして作り上げたとのこと。今回は、そんな圧倒的な熱量+『DREAMSCAPE』グランプリ作品という、プレイする前から面白いことが確定している本作について書き起こしていく。
もちろん、直接的なネタバレに関しては一切記載しないので、未プレイの方でも安心して見て頂きたい。
水族館をテーマにしたホラーアドベンチャー
『アクアリウムは踊らない』は、ジャンルとしてはホラーアドベンチャーゲームとなっている。
ざっくりあらすじを紹介しよう。行方不明になった幼馴染のルルを探すため、異形の生物がひしめき合う恐ろしい水族館を探索する主人公のスーズ。なぜ、幼馴染は行方不明になったのか?異形の生物は何者なのか?そもそも、何故普通の水族館に居たはずの主人公たちは謎の水族館に迷い込んでしまったのか?など、謎が謎を呼ぶストーリーとなっている。
▲透明感溢れる水族館が一転、ドロドロした雰囲気を醸し出す恐ろしい施設に…。
本作の魅力溢れるキャラクターたちをご紹介!
「そもそも、どんなキャラクターが登場するの?」「先に推しを決めてから触るタイプなんだよね」と言った方も多いと思うので、まずは本作のキャラクターを抜粋して紹介していこう。
ちょっぴり口の悪い主人公スーズ
まずは本作の主人公であるスーズ。特に自分から行きたい場所や、やりたいことを持たない、欲が少ない性格。どうやら、子供の頃の出来事によって、水が苦手らしい。
シナリオの初っ端から「年下の癖に、相変わらずこいつはタメ口だな…」と発したりとちょっぴり口が悪いのが印象的。ただ、幼馴染のルルが行きたい場所にはいつもついていくなど、面倒見が良い一面も伺えるので、どちらかというと、意思が強いだけなのかもしれない。
おっとり口調のスーズの幼馴染ルル
主人公スーズの幼馴染ルル。「珍しいかも〜」などと語尾に伸ばし棒がついているおっとり口調で、ゆったりした性格。しかし、おっとりした印象とは対象的に、何事に対しても動揺しない芯の通った一面も持ち合わせている。
いつもスーズを連れ回しているというよりは、「ス〜ちゃんの行きたいところに行こうよ〜」と発言していることからも、しっかりと気を使えるお姉さん的な姿も描かれている。
軍服を身に纏った謎の人物レトロ
おそらく、本作で最も登場時のインパクトが大きな人物レトロ。およそ水族館を訪れる人が着てくるとは思えない服装をしているだけでなく、異形の生物たちと渡り合える武力を所持している謎多き人物。動かなくなった懐中時計を携帯しており、スーズが触れてしまいそうになった際には、過剰なほどに距離を取るほど大切にしているらしい。
主人公のスーズからは、見た目の印象そのままに「大佐」と言うあだ名を付けられるが、本人的にはお気に召していないらしい。
筆者的に本作の好きな箇所を紹介!
アドベンチャーゲームに限った話ではないが、ゲームをプレイしている時に「このシーン好きだわぁ」「この要素いいなぁ」となることは皆さん経験があると思う。そんな筆者的メモリアルを何点か紹介していこう。
愉快な異形生物の面々
最初の方にも記載したが、本作には人ならざる異形の存在が多く登場するが、すべてが敵という訳ではなく、時には主人公たちの手助けを行なってくれるキャラも存在している。
大盛況のカフェ&バーを営むデメキンちゃんや、人間に興味を持ってクイズを出してくるグソクムシ、シンプルに進むべき道を教えてくれる親切な鯛など、個々の色が強く印象の残るキャラが非常に多い。
筆者的には、こんな不思議空間でもライブステージで歌を披露している、アイドルのバンドウイルカちゃんがお気に入りだ。ここでは記載しないが、アイドルらしい(?)悩みを持っているところも含めて愛くるしい。手渡しでCDをプレゼントするなどファンサービスも欠かさない、まさにアイドルの鏡。
▲ここには書ききれないほど大量のキャラクターが登場するので、自分のお気に入りを探すのが捗ること間違いなし。
ドキドキ!怪物の背中でトコトコチキンレース!
本作に限らず、筆者はダッシュができるゲームでは常に走り続けているタイプなのだが、慎重性を求められる際は、一歩一歩しっかりと大地を踏み締める。本作でもサイレント要素がしっかりと用意されており、それが、巨大な怪物の背中を渡り歩くものとなっている。
怪物の目が覚めないようにゆっくり歩くのだが、怪物がデカすぎて中々ゴールに辿り着けないのである。ホラーとは別軸な気がするが、これはこれで良い緊張感を得られて楽しかったぞ。
本物の水族館ばりの丁寧な解説
本作は水族館をテーマにした作品というだけでなく、ガッツリと海洋生物たちの丁寧な解説が用意されている。もともと、そこまで海の生き物に詳しくなかったというのもあるが、「そうだったのかぁ〜」と学びになる解説が所々配置されているので、プレイする際は、水槽などを忘れずにチェックしておこう。
▲時には謎解きに使われることもあるので、攻略の意味合いでも確認することを推奨するぞ。
あなたも一緒に水族館の謎を解き明かしませんか?
ここまで、『DREAMSCAPE』のグランプリにも輝いた『アクアリウムは踊らない』を紹介してきた。
プレイ時間は約5時間、ゲームオーバー回数は10回とおそらく平均的な数値に落ち着いたように思える。本作はマルチエンディングなので、最初のエンディングに辿り着くまでは3時間程度で到達できる。一気に遊びきれるボリューム感ではあるが、物語の合間に小休憩を挟めるようなエリアも用意されているので、少しずつ進めたい方でも安心だ。
ちなみに、本作はフリーゲームとなっており「これが無料でいいのか…」と思わずにはいられない圧倒的な満足感を得られる作品、というのが筆者の素直な感想である。特に、水族館の透明感とおどろおどろしいホラー演出のミスマッチ感、ホラー部分はしっかり怖く、エンタメ部分はしっかりカジュアルにする線引きが最高に良かった。
シナリオ重視のゲーム好き、ミステリー好きをはじめ、誰が遊んでも楽しめる作品だと個人的には思えたので、気になった方はぜひ一度遊んでみてはいかがだろうか?
『DREAMSCAPE』の概要
『アクアリウムは踊らない』の概要
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(編集・執筆/いの)