5月23日にリリースされたギリギリ直感シューティングゲーム『キュービックスターズ』。スマホゲームでは前例のない、ジャイロセンサーを使ったシューティングを楽しめる本作の開発の裏側について、プロデューサーの園原氏からお話を聞くことができた。園原氏のモンストへの想いや開発で苦労したこと、今後の展望などをご紹介する。
プロデューサー園原氏の自己紹介
園原:『キュービックスターズ』プロデューサーの園原です!僕は、2017年に新卒として入社させていただいて、すぐにモンストの企画・運営チームに配属になりました。そこで3年間ほど主にステージ作成をメインに運営をしていました。その後、新しいゲームが作りたいという気持ちがあって、当時の上司に企画書を当てたところ、企画の方針といった部分がよかったとのことで『キュービックスターズ』を始めることになりました。
約2年、企画のペライチの紙のところからずっと立ち上げ、リリースまで携わらせていただいています!
ーーありがとうございます!モンストに対する想いも教えていただけると!
園原:モンストってステージ作りや、キャラの設定がしっかりしていて、魅力的な部分が沢山あるといったところを携わっている中で知っていって、色んな人にモンストの楽しさやキャラ設定、魅力、みんなで遊ぶ面白さを伝えていきたいという思いがあります。僕は人生の中でもみんなでやるゲームしかやってこなかった人間なので、ご縁や運命を感じていますね。
ーー自己紹介ありがとうございます!本日はよろしくお願いします!
園原:よろしくお願いします!
『キュービックスターズ』の秘話
ーーちなみに好きなモンストのキャラって誰ですかね?
園原:これ難しい質問ですね(笑)そうですね…モンストってステージやプレイスタイルによって結構変わってくると思っていて…。難しいなと思いつつも何体かいるんですけど、1体目はアグナムートですね。なんでかと言うと、一番最初にガチャキャラで運極になったんですよ!そこから育成するとめちゃくちゃ強くなるなぁ、ということを気づかせてもらって。自慢じゃないですけど、キャラをとことん育成して突き詰めるのが得意で、周りからすごいと言われるのが楽しかったですね!
ーーアグナムート愛がヒシヒシと伝わってきました!何体かいるとおっしゃっていたのですが他のキャラは…?
園原:その次に言うと、やはりすごい昔から使っているパンドラですかね。モンストは重力バリアなどのギミックが多彩にあったので、パンドラをよく使っていました。最近だとソロモンをよく使っていますね。
ーー『キュービックスターズ』の表紙もパンドラなのですが、園原さんの好きなキャラを選んだ感じなんですかね?
園原:なんでパンドラかと言いますと、ジャイロ操作を際立たせるために今は入っていない古の仕様がありまして、四角いキューブ状のキャラを積み重ねる要素があったんですよ。ゲームを作る上で仕様から削除したんですけど。そこで「モンストのキャラがキューブ状になっている理由とか世界観ってあります?」とモンストのキャラ設定をしている方々に聞かれて…。その時は考えてなかったんですけど、たまたまパンドラの持っている箱の設定を知っていまして、箱の中に厄災が詰まってて悪いことを閉じ込める役割があって、モンストのキャラ達が吸い込まれて四角くなるという発想が出てきました。その案でOKを頂きまして、「その設定を広げていくとストーリーも面白そう」と思い、今の箱の中のキャラ達を助けにいくというベースが出来上がっていきました。もしかするとパンドラがいなかったら、このゲームは生まれなかったと思います。なのでパンドラに助けられた感じですね(笑)
ーーパンドラとなにか運命的なものを感じますね!
園原:結構思いつきで「このキャラのこの設定使えるな」とか考えたり、他のキャラの色々な設定を持ってきたりしていましたね。僕自身、モンストキャラの設定で世に出ていないものとかあって勿体無いなと思っていたので、僕の作るタイトルとしては、そのキャラの設定だったり魅力といった部分を広めていきたいなと思っています。
ーーぜひモンストファンのためにも様々な設定を世に送り出してください!続いてですが、本作のゲームシステムについてどのような経緯で今の形になったのでしょうか。
園原:自分の中でみんなでワイワイできる体験ってなんだっけ?って振り返っていく中で、いかだボートの体験を思いつきまして。僕自身みんなでボートに乗って、声の掛け合いが思い出深かったので、モバイルでも近しい体験ができるというのに価値があるのではないかと思いまして。一番最初の企画というのは、ボートに乗ってみんなで遊ぶ企画だったんですよ(笑)それをいざモバイルのゲームに落とし込むといった時に、そのままボートに乗って声を掛け合ってもあんまり面白くないなと思いまして、そこから僕自身がハマっていたカジュアルアクションやカジュアルシューティングみたいなところに落とし込んでいって、みんなでボートに乗ってゴールを目指すみたいな、目的達成のために声を掛け合うところをバトルゲームみたいな形に落とし込んで行ったところが『キュービックスターズ』の最初の立ち上げから今の所に通ずる部分かなと思っています。
ーー最終的にいかだボートでの体験を参考にした理由をもう少しお聞かせできますか?
園原:みんなで「あっちあっち!こっちこっち!」みたいな、リアルタイムで声を掛け合うっていうゲームが今までなかったなということを踏まえると、やっぱりみんなでワイワイする体験として、あとは世の中にないもの、新しいアイディアだなと思われるのもを考えたら、僕自身の中で一番いかだボートがしっくり来たなって感じですね。
開発の背景や苦労・気をつけた部分
ーー差し支えなければ『キュービックスターズ』を作るきっかけとなった背景を教えていただけますか?
園原:モンストをIPとして拡大していくと言うことで、今モンストを遊んでないユーザーさんにモンストを使った色々なジャンルのゲームを展開していって、触れてこなかったユーザーさんにも触れてもらうきっかけを作るという方針が決まりまして、そこで動き出したと言うところですね。
社内コンペが行われて、50件〜70件くらいの企画書が上がっていたと思います。なぜか僕は2本出したんですが(笑)
ーーその中から選ばれるって凄いですね!『キュービックスターズ』を開発していくにあたって、苦労した話とかもお聞かせいただけますか。
園原:開発の細かな苦労ということではないのですが、新規のゲーム作りをしたことなかったんですよね。そもそも僕がプロデューサー経験が全くない状態からのスタートで。本当に企画書の作り方や、説明の仕方だったりとか、開発会社の選定や進め方など、全く分からない状態から始まったんですよ。最初は、Wordに企画書の案を書き出して画像を貼ったりしていたのですが、社内の経験が多い方々に恵まれて、プロジェクトとして経験が多いディレクターの方や技術サポートの方々、それこそ色々な他部署の方々に協力していただいて、手探りしながら一歩一歩進めていくのが大変だったなと(笑)
ーーそれは大変ですね(笑)
園原:そうですね(笑)本当に分からないながらも、企画として大切にしたいところをちゃんと説明しないと、どんどんコンセプトがずれてしまったり、現場が混乱する可能性があったりするので、分かる所と分からない所をしっかり線引きしておかないといけなかったですね。自分の実現したいことを大切にしつつも、分からない部分は分からないって素直に聞いて教えてくださいっていうのを時間をかけてやっていきました。普通のプロデューサーより、少し時間がかかったのではないかなと思っています。
ーー本作を作るにあたって気をつけたことを教えてください。
園原:モンストシリーズ通して、みんなでワイワイできるという部分を大切にしています。『キュービックスターズ』は今の合体モードの4人でくっついた状態で、声をかけながら操作するのが楽しいんですけど、4人集まらないといけないゲームっていうのはハードルが高いのではないかと意見がありまして。そこから1人でも楽しめるし、4人だともっと楽しめるといった部分を大切にしています。友達と集まらないとやれないゲームだと、キャラを強くできなかったり、そもそもゲームのおもしろいところを体験できないことが出てきてしまい勿体無いと感じたので、1人でも遊べるんですけど、でもマルチプレイだとより面白く、楽しくなることを意識していますね。
ーー本作はジャイロ操作を採用していると思うのですが、すごくチャレンジングなことだと感じまして。開発にあたって気をつけたことや苦労した部分を教えていただけますか。
園原:ジャイロ操作ってSwitchとかではたくさんあると思うのですが、モバイルってなると今出ているゲームではほとんどないんですよね。なので結構なパターンを用意して検証しました。今のジャイロ操作にするのにも、どのくらい傾けたら反応するのか、加速度はどのくらいがいいかとか、あとはハンドル操作の方がいいんじゃないとか色々な検証をした結果、傾けると言う操作方法が一番直感的にプレイできると思い、今の操作に行きつきましたね。
本当に何回も色々なテストを重ねて、どのくらいで画面見えなくなるだろうとか、リセットのボタンも必要だよねとか、あとはどういった調整が必要なのか検証しつつ作っていきました。けど、ユーザーさんによって傾け具合や操作のやり具合は変わってくると思うので、ベースの機能や操作の基本を作りつつも、自分のやりやすい操作といった部分を追求して調整させていただきました。
あと、個人的な思いにはなるのですが、せっかくゲームを作るんだったら色々な人に遊んでもらいたいと言う思いがありまして。ただジャイロ操作と言ったら、チャレンジングで慣れ親しんだ操作ではないので、世の中に問わない限り受け入れられるのか受け入れられないのか分からないので、不安はありました。僕自身は面白い操作だと思っているのですが、慣れてない操作を強要されては、ゲームの面白い部分にたどり着く前に辞めるきっかけになってしまうと勿体無いので、バーチャルパッドを取り入れつつ、今回はこんな操作ありますよと、ジャイロ操作を推していきたいと思っています。
ーーそんな試行錯誤があったんですね…。横画面を採用したのは操作感がよかったからとかですか?
園原:最初は縦画面でもよかったよなぁと感じていたのですが、ジャイロセンサーが正確に取れないんですよね…。だから横画面になった経緯があって、そこからUIどうしようとかもありましたね。
ーー横じゃないと反応しないんですね!
園原:そうですね。あとは、バーチャルパッドを僕は入れるつもりはなかったんですが、周りから待て待てと(笑)今のご時世ジャイロだけになると…といった意見もありまして、かなり話し合って今の形に落ち着いた感じです。ジャイロ主体で作っていたので、パッドの部分はもっとブラッシュアップしていきたいなと思っています。最後は、より多くのユーザーさんにプレイしてもらうという方を取りましたね!
今後の実装キャラは?
ーー今後『キュービックスターズ』には様々なキャラが登場すると思うのですが、選定基準を教えてもらっても大丈夫でしょうか。
園原:『キュービックスターズ』に関しては、キャラやシナリオをまとめている担当がいるので、その担当と話しながら決めています。基本的にスケジュールを見ながら、こういうイベントをやりたいからこのキャラにしようとか、あとはキャラの魅力を伝えていくと言うところで、おなじみキャラだけではなくて、モンスターストライクに最近登場したキャラや人気のあるキャラを織り交ぜながら出していくといったところで選定していますね。
例えば、みなさんが知っているキャラのアーサーなどを出しつつも、最近人気のあるネオであったりとか、激・獣神祭シリーズのファウストだったりメモリーだったりとか、最近モンストに実装されたキャラも登場させたりしています。あとは、夏ならこのキャラ欲しいよねとか話し合ったりします。
ーーユーザー投票で実装キャラを選んだりはしないですかね?
園原:担当とは、もしできるんだったらやっていきたいなと話しています。ユーザーさんの声を聞きながら、実装できたらいいなと検討している最中ではありますね。どのタイミングでやるかといった部分はまだなんですが、ユーザーさんに喜んでもらいたいと言う気持ちがあるので。
ーーユーザーさんの声を大事に思っているのが伝わってきます!今後の実装キャラに要注目ですね!
園原:はい!楽しみにしてください!
コミニュティ運用について
ーー本作はマルチを活用するともっと楽しめる作品だと思うのですが、今後Discordなどの運用方針ってどのように考えていますか。
園原:『キュービックスターズ』の公式Discordは、基本的にはユーザー同士で集まってもらって、マルチプレイ募集や雑談ができる場として提供している感じです。実を言うと、毎週木曜日の20時くらいから僕もマルチプレイを募集しています(笑)
ーープロデューサーとゲームプレイできるなんて面白いですね!
園原:ユーザーさんと密な関係を持てたらと思っているので。今後は、Discord内でのイベントも検討できたらなとも考えています。
ーー今後も社内で運用されていかれる感じですか?
園原:そうですね。今のところ自分達でやっていこうかなと思っています。その場で様々な変更ができるので、そういった部分でフットワークを軽くしていけたらなと考えています。
ーーユーザーさんからしたらすごく嬉しいと思います!あと、公認プレイヤーやプロチームなどを作る予定とかはありますかね?
園原:そうですね…今のところは考えていないのですが、展開次第では作れたらいいなと。
新しいものを作り出す原動力
ーー新しいものを0から作り出すのは、並大抵のことではないと思うのですが、本作を作るにあたって原動力になったもの、糧になったものってなにかありますか?
園原:糧になったものですか…色々とあるんですけども、1番のきっかけはモンストで3年間ステージを作っていくなかで、一つの目標として高難易度ステージを作るというものがありまして。そこに向かってがむしゃらに頑張って、乗り越えて、目標がなくなったんですよね。このままステージを作り続けるのも楽しいし、反響が大きいというところがあったのですが、自分の作ったステージで一喜一憂してくれる体験を目の当たりにして、ユーザーさんに喜んでもらえるものを提供するというのは続けたいなというところはありつつ、このままでいいのか?という気持ちもありまして…。ユーザーさんにもっと一喜一憂してもらえることができるのではないかと考えたところ、たまたまコンペ企画が実施されてキャリアチェンジのチャンスがあったんですよ。もしプロデューサーになったら、もっとユーザーさんに大きな感動だったり、驚きを届けられるのかなと思ったのが最初のきっかけでしたね。まさか本当になれるとは思っていなかったんですが(笑)
ーーユーザーさんの喜ぶ姿が一番の原動力なんですね!
園原:そうですね!例えばXFLAG PARKだったりとかで、モンスト好きな人が何万人と集まって感動している姿っていうのを目の当たりにしていたら、僕自身もっと大きなものや、もっと「おー!」って言ってもらえる体験を作っていきたいというところがあったので、そういった体験を届けるために新規事業を作ろうと!そこからは思っていた1億倍くらい大変でした(笑)
ーーお話を聞いていて、新しいものにチャレンジするのが好きなんだなと感じました!
園原:どうなんでしょうかね。諦め癖は悪いのかもしれませんね。ユーザーさんのことや、このゲームを手に取ったときのことをずっと考えていたら、諦められない、逃げられないんだなぁと思って。自分が立ち上げたってこともありますし、世に問うって部分に関すると、すごいチャレンジングな企画だと感じていて、成功した時に世の中のゲームの操作とかもちょっとずつ変わってくるのかなと考えていくと、続けてみたら面白いかなと。自分自身、諦めだったり逃げぐせがないと言う部分が大きかったのかなと思います。
ーー先ほどスタッフさんからエゴサしまくると聞いたのですが…。
園原:エゴサが癖なんです(笑)大きなアプデやキャラの実装といった時に、ユーザーさんの反応は大事だと思うので、よく見ていますね。ユーザーさんと目線を合わせつつ、今後のアプデの参考や予測をしています。けど、エゴサが好きと言う部分が大きいですが。
ーーユーザーさんの意見を拾ってくれているんですね!
園原:ユーザーさん同士で会話が盛り上がっているのが嬉しいので。一緒にマルチをやるきっかけになったり、ソロ攻略の会話が盛り上がっているところを見ると安心しますね。
園原プロデューサーからみなさんへ
ーー面白い話の数々ありがとうございます!最後に『キュービックスターズ』をプレイしている方々に一言メッセージをお願いしてもよろしいでしょうか?
園原:まずは遊んでいただきありがとうございます!お問い合わせやTwitterなどでのご意見もありがたいと思っています。本当に色々なストーリーやフルボイスでご評価いただいている点もありますし、快適に遊びたいと言う部分に関しては叱咤激励のご意見を多くいただいているということは、僕らも感じているところではあります。正直に言うと、ハーフアニバーサリーに大きなイベントを仕込んでおりまして、それまでにより遊びやすい『キュービックスターズ』を目指しており、コンテンツだったり、機能の改修を随時行なっていきます。もちろんイベントだったりストーリーも追加していきますので、ぜひお楽しみにしてください!
ーー貴重なお時間、お話をいただき本当にありがとうございました!
『キュービックスターズ』について
(編集・執筆/ゲーム山本)