2023年中のリリースを目指して開発が進められている『東京サイコデミック』。グラビティゲームアライズの試遊会にて、こちらをがっつり体験プレイさせていただいたので、本記事ではその内容を詳細にご紹介させていただいている。現在開催中のBitSummitや、今後TGSなどで試遊可能ということなので、参加予定の方はぜひご一読いただきたい。
※本記事の内容はいずれも開発段階のものです。正式版と内容が異なる場合があります。
『東京サイコデミック』ってどんなゲーム?
『東京サイコデミック』は、2023年内の発売を予定してグラビティゲームアライズで開発が進んでいる、超本格的な科学捜査アドベンチャーゲームだ。試遊会のレポでも少しご紹介したが、2020年に発生した未知のウイルスによって社会が大きく変わってしまった、IFの東京が舞台だ。主人公となるプレイヤーは、相棒の「紅葉巴杏」ら仲間たちとともに、次々と発生する不可解な事件へと挑んでいく。
▲主人公と行動をともにする相棒の紅葉巴杏。ミステリと言えばやっぱりバディだ。
ゲームが始まるとまずオープニング映像が流れるのだが、これはすべて実写で、本物のニュース映像そっくりのできになっている。未知のウイルスが発生して……という、現実とリンクしつつも少し異なる展開を見せた物語設定の根幹となる部分だ。こちらのオープニングに限らず、本作で出てくる監視カメラの映像なども全て実写であり、ゲームに対する没入感を高めてくれる。サイコデミックの世界ではウイルスの影響で東京はロックダウンされており、それがようやく解除されたばかり……というのが現状だ。
▲めちゃ再現度の高いニュース映像!冒頭から物語の中へ引きこまれる。
しかし、都市機能が回復に向かうかに思われていた東京では、不可解な事件が多発するようになっていた。主人公たちは、そうした警察も手に負えなかった未解決の事件を専門に扱う探偵だ。外部の協力者から提供された資料を科学的に再分析することで、誰もたどり着けなかった事件の真相に迫っていく。
▲警察内部の協力者から資料を回してもらうことで、主人公たちの捜査が始まる。
刑事ドラマのようなリアリティあふれる捜査パート
本作の肝とも言える捜査パートはまさに圧巻の作りで、刑事モノの映画やドラマ、ミステリー小説などにそのまま入り込んでしまったかのような、重厚なリアリティを持っている。というのも、物語を進めていくためには、プレイヤー自身が「能動的に」動かなければならないからだ。言い換えると、考えることを登場人物に丸投げし、プレイヤーは選択肢を選んで物語を読むだけ……という、アドベンチャーゲームによくある受け身の姿勢では事件が解決できないのだ。
▲筆者が大好きなやつ。証拠や事実関係をまとめた「エビデンスボード」。これこれ!と言いたくなるミステリ要素だ。
ゲームの推理はエビデンスボードと呼ばれる、ミステリーではおなじみとも言える資料をもとに進められていく。ここにはそれまでに得られた証拠などが整理されており、同時に次は何を考えなくてはならないか、という点を示す役割も担っている。例えば今回プレイした体験版では、ある焼死事件を調べることになるのだが、まず「火元は何なのか?」というところから推理が始まり、それらしきものを自身の手で探さなくてはならない。
▲エビデンスボードに書かれた疑問は、主人公が次に進むための足がかりになってくれる。
証拠探しは基本的に写真や映像の確認によって行われる。上記の場合では、現場の写真を拡大したり見る視点を変えたりしながら、それらしきものをまさに目を皿のようにして探していくのだ。見つけたものは個別の証拠画像として記録することが可能で、それをエビデンスボードに追加することで事件の空白を少しずつ埋めていく。非常に地味な作業なのだが、やってみるとこれが無類に面白い。自分の手で捜査を一歩ずつ前に進めているという実感が非常に得られやすいのだ。
▲現場写真を拡大すると見つかったライター。火元はこれだろうか?
▲監視カメラの映像をチェックすることで、当日の被害者の行動ルートを探る。
▲筆者が大好きなやつその2。自分で選んだ2つの映像から写真を照合することができるのだ。
また証拠として確認できるのは写真などの映像資料だけでなく、もちろん被害者周辺の人物からの調書などのほか、新聞記事などの外部資料もチェック可能だ。こうした証言からも、次はどこを調べるべきかを考えるための手がかりが得られる。
▲写真だけでなく、新聞や広報誌、もちろん関係者に対する調書などからも、事件のヒントが得られる。
仲間の意見を元に推理の空白を埋めていく
捜査を進めているのは、主人公たち二人だけではない。二人には専門知識で捜査を手助けしてくれる協力者たちがいる。操作を進めるに当たっての疑問点、考えるべきポイントは都度そうした仲間たちに尋ねることが可能だ。先程の「火元は何なのか?」という問いについても、見つけたものを彼らに送ることで、それぞれの知識に応じた意見をくれるようになっている。
▲オモテに出ない裏社会の住人たちが、主人公たちの捜査に力を貸してくれる。
そうした意見も踏まえて発見した証拠をエビデンスボードに追加する瞬間はめちゃ楽しい。ミステリ好きなら絶対に好きになること間違いなしだ。ただし注意しておかなければならないのが、これが真の証拠であるとは必ずしも限らないことだ。『東京サイコミック』の捜査では一度で真実にたどり着けるとは限らない。真実は一つかもしれないが、そこにたどり着くまでの道のりには失敗や遠回りなどもあり、人によってまったく異なる捜査の展開になることもあるのだという。事件に対する解像度によってエンディングが分岐することもあるらしく、自身の推理に囚われすぎない柔軟さも必要になるだろう。
▲仲間たちは知りたいトピックに応じて証拠品などを投げることで、専門的な知識を授けてくれる。
▲自分で選んだ証拠をエビデンスボードに貼り付ける。これで合ってるんだろうか、という一抹の不安を抱えつつ……
今回プレイできたのは物語のチュートリアルにあたる部分でもあり、難易度は高くないが、たとえば上記の部分であっても火元と思しきものは複数存在している。今回はライターを火元と想定して捜査を進めてみたが、もしかすると、ここにもあとから推理を訂正しなければならない流れも発生するのかもしれない。
奇妙で不可思議な「本当に起こった」事件の数々
冒頭で少し述べた通り、このゲームの世界では不可解で奇妙な事件が……言い換えると、超自然的な現象に見える事件が数多く起こっている。ゲーム内で主人公たちが扱うのもそうした事件なのだが、それらはなんと現実に起きた事件をモデルにしているらしい。
▲ゲーム内で起こる事件は、現実の事件をオマージュした、超自然的な現象に見えるもの。科学的な説明はつくのだろうか……?
体験版で遊べる事件では、人体の足のみが残って、残りが骨も残らないほどの高音で燃え尽きてしまう、という通常では考えられない出来事が起こっていたのだが、これは通称SHC(Spontaneous Human Combustion:人体発火現象)とも呼ばれる有名な事件で、ここ数百年の間に何度か発生しているものなのだという。原因については諸説あるが、はっきりと断定されてはいない。
▲人体を燃やし尽くしてしまうには1200度以上の炎で焼かねばならず、そうした炎は通常自然界には存在しない。
ストーリー中でも、とある異能を求めるグループの話が出てくることもあり、超本格的な科学捜査ゲームである一方で、奇妙で不可思議な手触りのするゲームでもある。犯罪捜査や探偵ものが好きな人はもちろん、都市伝説などの方向でミステリ好きな人にもたまらない内容と言えるだろう。シナリオに関しては先の展開がまだまだ全く見えないが、正式のリリースを楽しみに待ちたいところだ。
東京サイコデミックについて
タイトル:東京サイコデミック 公安調査庁特別事象科学情報分析室 特殊捜査事件簿
ジャンル:2D×シネマティック・リアル科学捜査シミュレーション
対応機種:PC(Steam) / Nintendo Switch / PlayStation4 / PlayStation5 予定
リリース予定:2023年 予定
公式サイト:https://tokyo-psychodemic.com/
(編集・執筆/ena)