【ウォーロン】評価・レビュー|プレイした感想【WoLong】

評価・レビュー|プレイした感想

ウォーロンの評価およびレビュー記事です。

ウォーロンの評価:Game8スコア

Game8評価スコア

総合評価
42点/60
世界観 グラフィック 戦闘
6/10 8/10 8/10
キャラクター
(ストーリー)
サウンド 快適さ
6/10 7/10 7/10

評者はPS5版でプレイしています

【総合評価】
編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。
【6項目評価】
世界観:ドラクエ世界の出来栄えの参考値
グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値
戦闘:戦闘システムの面白さなどの参考値
キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値
サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値
快適さ:ロード時間や操作性、運営の更新性の参考値

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こんなあなたにおすすめ!

  • 死にゲーが好きな人
  • 死にゲーに興味があるけどなんだか怖く感じる人
  • 回避をガンガン決めて爽快感を味わいたい人

みんなの評価

最高!面白い!
378
面白い
106
まあまあ
97
イマイチ
352

ウォーロンの評価レビュー

一敗塗地

意味:再び立ち上がれないほどに徹底的に打ち負かされること。地に塗れるは泥まみれになることから。本ゲームでは操作キャラクターが死ぬとでかでかとこの文字が出てくる。

一敗
一敗塗地。ご存知でしたか。筆者は浅学非才の身なので、このゲームで始めてこの四字熟語を知りました。調べてみると、これ以上ないくらいの敗北を示しているように見えます。元々の使われ方としては謙遜として使われていたようですが、筆者はこれを何度も見ると、ぐぬぬ……となってしまいます。きっとスザクに頭を踏みつけられたルルーシュも同じような心持ちだったことでしょう。

なんで死んでからもこんな言葉を投げかけられなければならないのか。一敗塗地。忘れられない言葉になりそうです。しかし、しかしですよ。本作は死にゲーです。当然、何度も一敗塗地させられるわけです。でも、徹底的に打ち負かされているのに筆者を含めたプレイヤーは何度だって立ち上がるはずです。そう考えると逆にこの一敗塗地という言葉はプレイヤーを奮い立たせてくれるような文言として登場しているのかもしれない。と前を向くこととします。

というわけで何度も何度も死んで土の味をもはや覚えてしまったのではないかというほどの筆者がこれから本ゲームを紹介していきたいと思います。

Team Ninjaが送る新たな高難度アクションゲーム

ウォーロン
本作『Wo Long: Fallen Dynasty 』(以下ウォーロン)は、コーエーテクモが送る新作高難度アクションゲームです。NINJA GAIDENやDOA、仁王などでお馴染みのTeam Ninjaが製作しています。特にニンジャガや仁王は高難度ゲームとして有名です。そして本作も高難度アクション。推して図るべし。

さて、そんな本作『ウォーロン』ですが、しばしば引き合いに出されるのはあの名作アクション『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』(以下隻狼)ではないでしょうか。もちろん製作チームつながりで仁王も出されるのは間違いないと思います。筆者なりに『隻狼』とどういう違いがあるのか、という結論は出ていますが、一旦、本作がどのようなゲームとなっているのか、ということを先に話してから、最後に『隻狼』との違いについて紹介したいと思います。

死にゲーの中では遊びやすい難易度で楽しめる

本作はいわゆる死にゲーと呼ばれる文脈に位置する作品の一つだと思います。事実、公式でもダーク三國死にゲーと銘打たれており、プレイヤーは恐らく何度も死ぬこととなります。ゲームの中でも高難度の部類に入ることは間違いないでしょう。

一方で死にゲーと呼ばれる中ではどうか。筆者は死にゲーを多くプレイしているというわけではありませんが、例えばフロムソフトウェアに代表される作品群やそれこそ『仁王』と比べても難易度は落ちるかな、といった感想を抱きました。

ただし、この比較的遊びやすいというのは、あくまでも旗を立てている状態に限ります。ボスとの士気ランクが同等以下だった場合、一気に難易度が上がるので、上級者の方もあえて旗をそこまで立てないプレイをすればヒリヒリとした戦闘が楽しめます。

戦闘力に直結する

今旗という言葉と士気ランクという言葉がでましたが、これは本作の特徴的なシステムとなっています。士気ランクとはそのステージ内にだけ適応されるレベルのようなもので、このレベル差が大きいと敵の攻撃がより痛くなり、場合によっては一撃で殺されてしまうことも十分ありえます。

不屈ランクが上がる

この士気ランクをどうやって上げていくのかというと、敵を倒したり絶脈といういわゆる致命の一撃を敵に与えることで上昇します。そしてもう一つ重要な要素として、軍旗、拠点(篝火)になるものを各所に立てていくと士気ランクの最低保証が上昇(正確に言えば標旗という拠点にならない旗も立てると)します。これを不屈ランクと言います。

つまり、本作『ウォーロン』では、敵を倒さず、探索せずにガンガン先に進むようなプレイをしていると敵との士気ランクが開いてしまい強敵となってしまいますが、くまなく探索すれば難易度が下がる、という設定になっています。

特に敵を倒すよりも軍旗を立てるという行為が重要で、これをしているかどうかで強敵との士気ランクの差に直結することとなります。もちろん、この差が大きければボス戦はより高難度になりますし、逆にしっかりと旗を立てて敵との士気ランクの差がなければ楽に攻略ができる、というわけです。

このゲームシステムのおかげで、敵が強くて勝てないが序盤からレベル上げをするのは獲得経験値の仕様上厳しい、ということをある程度クリアできているのではないかと思います。筆者のようなゲームはやるけどそんなに上手じゃないプレイヤーでも探索すればボスを初見で倒せたりもしました。参考になるかはわかりませんが、筆者の腕前はマレニアに初期の霜を踏んでかつ写し身を呼んだおかげで倒せた程度の腕前です。なので上手な方ではありません。

そんな上手ではない筆者ですが、本作のもう一つの特徴的なシステムである化勁は自分がうまくなったように感じて非常に楽しんでいます。化勁はいわゆるジャスト回避と同じだと思ってもらって問題ありません。まだ化勁の説明も終わっていないのにもう一つ新しい用語が出てしまい恐縮なのですが、化勁をするメリットとしては氣勢(以下気勢)ゲージが上昇するのに加え、敵の攻撃によっては態勢を崩し、秘技であれば敵の気勢を一気に削れます。

気勢システムという独特な要素

気勢

一つひとつ説明していきます。まずは順番が前後しますが気勢ゲージから。気勢ゲージは本作の根幹を成すシステムです。例えば化勁もそうですが、仙術といういわゆる魔法のようなもの、防御行動、武技、気勢攻撃という特殊攻撃と、こういった行動をするのに気勢を消費します。

気税が削がれてしまうと、プレイヤーは一時行動不能となってしまいピンチに陥ります。ここまで言うとスタミナのようなものなのかな、と思われるかもしれませんが、少し違います。この気勢ゲージを回復させる方法は2つあり、一つが通常攻撃を当てること、そしてもう一つが化勁を成功させることです。

これにより、プレイヤーは適当に化勁を放つことを許されません。ある程度しっかりと敵の攻撃を見て化勁をする必要があります。とはいえ、気勢ゲージが削がれた状態で化勁を使っても行動不能にはなりません。その状態で攻撃を喰らうと行動不能になるため、危険を承知で通常攻撃を当てたり決死の覚悟で化勁を成功させることで気勢を回復させることができます。

本作のユニークな点は、この気勢がほぼ全てを担っているという点です。先ほど上げたように、仙術や武技と呼ばれるものにも使う、いわゆるMPやらAPやらと呼ばれるようなものと同様な働きもする上に、ある種のスタミナゲージにもなっています。

この気勢がマイナス1000の状態(設定で数値設定可能です)になると、仙術や武技も使えなくなってしまいます。一方でマイナス999であれば使えますが、そこまで行くと敵の攻撃を受けると行動不能になるというリスクが大きくなってしまうので、基本はマイナスにならない立ち回りをすることとなります。

また、この気勢は敵にも存在しており、気勢を削ぐと絶脈が可能となります。そのため強敵との戦闘では、化勁や通常攻撃を当てて敵の気勢を削ぎ、絶脈を当てていくという立ち回りが重要な要素になります。

化勁はスピーディなアクションが楽しめる

次に化勁についてですが、基本的には上記した気勢ゲージとの関わりの中で捉えるものなので、それほど複雑ではありません。先ほど述べたように、化勁はジャスト回避の要素となっています。

基本的には全ての攻撃を化勁することができればスタイリッシュで楽しいですが、その中でも特に、敵の秘技と呼ばれる強力な行動に対しては化勁をしていくことで敵の気税をガンガン削ぐことができます。秘技をする際は敵が赤く点灯するのでわかりやすくなっているので、これは確実に狙えるようにしたいです。

化勁についてはもう一つ、化勁転撃という要素があります。『ウォーロン』では2つ武器スロットがあり、R1+◯ボタンで化勁転撃を行なうことができます。これもタイミングは化勁と同様なため、化勁と違う点として気勢がマイナスから一気にフラットまで持っていくことができるという点で強力です。仙術などをブッパしてから化勁転撃で回復、という立ち回りもできます。

以上の説明からわかるとおり、気勢ゲージを回復するためには化勁が非常に重要なことがわかると思います。通常攻撃も五徳(ステータス)のうちの火徳(かとく)を上げれば気勢ゲージ上昇量が上がりますが、最も良い手段としてはやはり化勁になるでしょう。

とはいえ、化勁は単純なリターンがでかいだけでなく失敗すると自身の気勢が減ってしまうというリスク的な側面もあります。その化勁のリスクですが、当初は判定が厳しいという声があがったそうで、最終体験版や製品版では化勁がやりやすくなっています。たしかに、かなり化勁の判定は長くなっていて、終わり際にまであります。筆者はTGSで試遊は一応したものの、時間制限もありなんとかボスを倒せた程度だったため、化勁の判定にまで気を割くことができず覚えていませんが、リスク・リターンのバランスを考えた英断だったのではないかと思います。ちなみに、TGSに同行した同僚はボス倒せませんでした。少し嬉しかったです。

連続化勁が成功したときの楽しさが醍醐味

なにはともあれ、化勁が成功したときは非常に楽しく、連続でも行えるのでこれが本当に楽しい。秘技を化勁できたときも演出が少し入り、筆者的には鉄山靠のモーションが入るのが格好良くて好きですが、通常攻撃、特に連続攻撃を化勁できたときは素晴らしく楽しい。連続攻撃でも化勁をガンガン成功させれば敵の気勢もそれと同様にガンガン削れていくので絶脈にも繋げられます。

最初は本作のシステムに慣れるためにガードしながら敵の秘技に合わせて化勁を行なう、というのでも楽しめるとは思いますが、やはり通常攻撃も化勁できてこそ本作の本領が発揮されるのではないかと思います。その点はやはり既存の死にゲーと同様、敵の行動を覚えて化勁を成功させる、という体験が可能となるので楽しめるでしょう。

基本的には以上の特徴さえ踏まえておけば『ウォーロン』は十分に楽しめますが、さらにということであれば、やはり武器を色々試してみる、というのがいいでしょう。特に化勁転撃で武器が切り替え可能なので、別の武器種を一回に楽しめますし、武器によって武技がついています。

武技は先ほど述べたように気勢ゲージを使って発動する技で、ガード不能攻撃という点に大きな特徴があります。また、武技は様々なものの中から選ばれるようで、同じ武器でも別の武技がついていることもあります。この点はハクスラ要素になるでしょう。

神獣

最後に特徴的なシステムとして神獣というものがあります。神獣は召喚獣のようなもので、召喚してお助けしてくれる招来と、味方全体にバフを掛けてくれる共鳴の2種類あります。筆者としてはこの招来が非常に強力で、初期の神獣である麒麟が召喚してくれた岩に敵がぶつかると一気に体力が削れていきます。これを駆使すればボスや強敵相手でもかなり楽に立ち回ることが可能です。

『ウォーロン』は最初こそ世界観に合わせた独特な用語が多いので入りが難しいですが、慣れてくればシステムは理解できるようになります。それほど複雑なシステムでもないため、簡単な用語とシステムを覚えておけば本作が遊びやすくなるでしょう。

上記のシステムを踏まえた上で、次にゲーム全体について話していきたいと思います。ストーリーはダーク三国志と謳われているように、三国志が舞台になっています。物語序盤では黄巾の話となっていますが、悲しいかな、筆者は三国志に全く造形が深くないためそれ以上のことはよくわかりません。三国志好きの方は楽しめるかもしれません。

化勁は楽しいもののバリエーションは不足

どんなに強力な攻撃でも化勁が可能

本作のメインとなっている戦闘要素に関しては、遊びやすくかつ純粋に楽しいです。その中でもメインとなる楽しさは化勁が決まったときなのは言うまでもないでしょう。反対にこれが失敗すると次こそは、となるので、最初は秘技には最低限合わせられるように、その後は通常攻撃にバシバシ決められるように、という流れのプレイは最高です。

若干敵の攻撃を待つ、という時間も入ってしまいますが、基本的にはスピーディなアクションとなり、かつ化勁というシステム自体は複雑ではないため、最初の敵から楽しめたのは好印象です。

一方でその化勁も化勁しかバリエーションがない点と秘技に合わせた化勁があまりにも強すぎるという点は良くも悪くも、といった点でしょうか。本作における化勁はとにかく強力で、どんな攻撃も必ず受け流せます。◯ボタンを押すタイミングさえ気をつけてしまえば、あとは連撃のバリエーションに合わせるくらいです。また、秘技に合わせた化勁は、ボス戦などでは最悪これだけ狙っても勝ててしまうというほど強力です。その点で化勁という点に頼りすぎ、楽しい点でもあるものの単調になってしまっていると感じました。

ハード格差と少しの不満点

また、これは直接戦闘に関わるというわけではありませんが、PS4とPS5では顕著な差があり、PS4版はやや遊びづらさを感じました。筆者はゲーム攻略ライターという都合上、両方のパターンを遊べましたが、PS4版はグラフィックやロード時間、フレームレートなど全てにおいてPS5と比べると難しいな、と感じる場面が多くありました。

弓が近くても命中しない。PS4版のみ?

特に化勁のタイミングがズレてしまい、もちろんこれはPS4だけで慣れたらなんとかなる範囲かもしれませんが、できればPS5で遊んだほうがメーカー側が想定した遊びに近いのでは、と思います。とはいえ、PS4でも遊びましたが、それでも楽しめはしたので、今はPS4で遊んで、PS5を購入できたら無料でアップグレードもできるので、気に入ったら改めて遊ぶ、というのもいいかもしれません。

その他の面では、背景の色と文字の色が被って読みづらい、鍛冶屋や収集品を献上できるNPCまでの距離が遠い拠点、装備周りのUIや倉庫が分かりづらい、副戦場などクリア後はステージ選択画面がよかった、用語が難しい、拠点が広いくせに鍛冶屋がやや遠く、また拠点中では自由にステージ選択画面に移動できるのがよかったこと、そしてロックオンした際に敵が暴れたときの追従速度が気になります。また、立体的なマップのため少し探索が難しいかな、とは思いましたが、これは探索し甲斐があるとも言えるので、良くも悪くもと言った感じでしょうか。

アクション好きには素直におすすめできる

ただし以上のような不満点はあれど、全体的なできとしては十分に楽しめる作品であり、特に死にゲーをプレイしたことがない、というユーザーにとっても士気ランクや秘技に合わせて化勁したり神獣を招来すれば比較的勝ちやすいといった点からもおすすめしやすいゲームとなっています。もちろん、他の死にゲーとは手触りが違いますが、何度もトライして達成感を経る、という経験自体は共通なので、高難度アクションをプレイしてみたい方もぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

隻狼とウォーロンの違い

化勁と弾き、待ちと攻め

さて、ここからは最初に述べた『隻狼』との比較についてお話していきたいと思います。これは直接ゲームの手触り、レビューといった内容とは少し異なる点、そして優劣をつけるために語っているわけではないという点に留意してください。どちらも面白いゲームである、という前提は共通しています。

本作が『隻狼』と似たような比較をされる点は化勁という回避システムにあります。『隻狼』では弾きと呼ばれるシステムですが、『ウォーロン』では敵の通常攻撃を化勁で受け流し、『隻狼』はそれを弾きで受け流す、という点です。

そして両者とも、その爽快感に重きを置いている点は同様でしょう。いずれも連続攻撃に対して連続化勁、連続弾きといったことは可能なため、一見すると近いように思えるのも納得です。

しかし、両者には決定的に違う点があります。それは、『ウォーロン』が待ちの戦法が強いのに対して、『隻狼』は待ちの戦法を取るとクリアが非常に難しくなる、という点にあります。

『ウォーロン』に限らずソウルライクといったゲーム群では、敵の行動をしっかり見て、回避して、その隙きに攻撃するというのが基本的な戦法です。本作『ウォーロン』の化勁システムは、この行動を見て化勁をする、という点に重きが置かれています。

通常攻撃も気勢が回復するため重要ですが、あまり攻め過ぎるとモーションをキャンセルして化勁することができず、実際はそこでゲームプレイが止まってしまう他、ボス敵によってはスーパーアーマーを持っているためひるまず、通常攻撃→化勁という流れを止めて様子を見るというフェーズが生じてしまう場合があります。加えて、敵の秘技は待ち得な上、化勁のタイミングをあわせることだけに集中すれば原則ボタン一つのみで敵に大幅に気勢ダメージを与えることが可能です。

一方の『隻狼』に関しては、敵の攻撃を弾くというところでゲームが止まることはありません。『ウォーロン』の連続通常攻撃に対しての連続化勁のような戦闘が常時続くこととなります。加えてそれが化勁のみ、弾きに終始するだけでなく、通常攻撃も入れ込みながらガンガンこちらから動いていくのが基本的な戦闘スタイルです。

言い換えれば『隻狼』というゲームには待ちというフェーズがほとんどありません。弾きは従来のパリィといった行動とは明確に異なり、パリィで一旦ゲームが止まることなく動き続けます。ですから、『隻狼』における弾きとはその実防御行動ではありません。弾きはそのまま攻撃行動に直結しており、ユーザーとしては敵の行動に合わせて攻撃するのか弾くのか、という選択を迫られるわけです。

『隻狼』はそこにさらなるバリエーションをもたせます。『ウォーロン』では秘技に対応する行動というのはありませんが、『隻狼』では危険行動に対する3択があり、一つは突き攻撃に対して突きを潰す行動、下段攻撃をジャンプして避けつつ踏みつける行動、そして最後に避けるしかない掴み攻撃があります。

また、『ウォーロン』の場合は敵に与えた気勢ダメージの回復が非常にゆるやかです。一方で『隻狼』の場合は通常攻撃を入れたりしないと体幹が目に見えて回復していきます。ここにも顕著な違いがあり、先ほど述べたような『隻狼」が攻めが強いゲームといった所以があります。こちらからガンガン動いて、さらには弾きという一見防御的な行動に見えるものも、通常攻撃から敵の行動に合わせてリズムよく弾き、攻撃し、弾き、危険行動を潰してまた攻撃して……という絶え間ない”攻め”の姿勢が続いていきます。

『隻狼』の素晴らしい点は、それでもなおシンプルであるという点です。ソウルシリーズは基本的に通常攻撃か回避or盾を構えていればいい、というシンプルな操作でしたが、『隻狼』に関しても通常攻撃か弾くのかという2択が基本であり、そこにアクセントとして前ステップ(突き攻撃を潰す)かジャンプして踏みつける、という行動だけです。これらはどれも1ボタンを押すのみでよく(スティック入力は除く)、同時押しは必要ありません。

もちろん『ウォーロン』にもシンプルさはあります。『ウォーロン』の良い点は通常攻撃と秘技で敵のモーションを見極めて入力・行動を変える必要がなく化勁一本で済ませられるからです。ゆえにこそ、今まで述べてきたように入門の一本としてはかなりよいできとなっている一方で、士気ランクを下げれば一発でも喰らえば死んでしまうかもしれない、というひりつきもあります。ただし、判定が残る攻撃などが多く、実際には士気ランク縛りはなかなか難しい、少なくとも筆者のようなカジュアルゲーマーには無理そうだなと感じています。

ウォーロンはどちらかといえばソウルライクの系譜

このように、一見して近く見える両作品ではあるものの、その実はかなり異なったものであることがわかります。筆者としては、『ウォーロン』はどちらかといえばソウルライクの系譜に位置づけるべき作品であって、『隻狼』ライクと呼ばれるべき作品(そのような作品があるかはわかりませんが)ではないと考えます。

筆者の感覚としては、『隻狼』ライクという作品が出ない(thymesiaくらいでしょうか)のは、その特殊性にあるのだと思います。敵の攻撃を気持ちよく弾くというのは、『隻狼』というゲーム内だけ見ても、決して全ボスがその爽快感があったとは言えなかったと思います。特につかみ攻撃はステップで避けるということにはなっていますが、やたら掴み判定が広い敵がいたり、そもそも弾きたいのに弾けない行動か……となってしまい、バリエーションには相当の苦慮が伺えます。

一方の『ウォーロン』に関してはそうした心配はなく、化勁という非常に優秀なシステムで全てを賄えているため、敵の行動もそれに合わせてバリエーション豊かでも化勁の爽快感はそこまで損なわれることはありません。また、すべてを化勁で賄えた要因の一つに気勢システムがあります。

一見するとこの気勢システムも『隻狼』に近く見えます。事実、気勢を削れば敵に絶脈という大ダメージを与えられるため、体幹ゲージと酷似しているでしょう。たしかに、この点は筆者も似ているな、と思います。

ただし、この気勢システムに関して言えば、プレイヤー側の気勢は化勁を含めた強力な行動には気勢ゲージがマイナスになるというリスクを与えており、体幹システムとは異なる点もあります。もちろん、ボスに限って言えばかなり近く見えるのは事実ですが、その気勢・体幹の溜め方に上述したような違いがあるため、あくまでシステム面の近さ、という程度に収まるでしょう。また、フロムソフトウェアの直近の新作『エルデンリング』では連続してパリィを決めないといけなかったため、気勢を削った絶脈もその文脈で捉えることも可能だと思います。

どちらかといえばこの気勢ゲージは、ボス相手にバシバシ絶脈を決められるという爽快感が素晴らしく、コツコツやって最後に忍殺もあれはあれで本当に楽しかったですが、派手さという点では『ウォーロン』に軍配が上がると思います。『隻狼』は渋いです。

隻狼には完成度を、ウォーロンには可能性を

また、もう一つ最大の違いとして、『ウォーロン』はまだ面白くなる余地が残されているように思えます。具体的にどこが、と言われると答えに窮しますが、化勁というシステムを根本から見直してみて、敵の行動に対する選択肢を増やせると待ちが一番強い、というような状況に陥らず、『ウォーロン』でしか不可能な体験というのもその先にはあるはずです。

一方の『隻狼』は、筆者としてはもう完成されきっていると思ってしまいます。あそこから新たなシステムというよりかは、忍具は増えるかもしれませんが、あれ以上手触りという点で改修する必要はなく、むしろフロムソフトウェアのソウルライク・『隻狼』といったゲームの最たる特徴であるシンプルであること、からかけ離れてしまうように思えてしまって、偉大なゲームだな、と考えるたびに身にしみます。

もちろん、『ウォーロン』もシンプルさは残されています。『仁王』シリーズに比べると残心がないことや武器の構えによるモーションの変更もなく、かなりとっつきやすいゲームとなりました。用語こそとっつきづらいですが、士気システムのおかげで、死にゲーに興味があるけど、なんだか怖いな……といったユーザーにもぜひ遊んで見て欲しい作品になったと感じています。

最初に述べたように、『ウォーロン』と『隻狼』、どちらの優劣が、といった話ではなく、どういった部分が違うのか、あるいは近いのだろう、といった点についてのお話をしてきました。最後にもう一度結論を言えば、『ウォーロン』は待ちが通用するゲーム、『隻狼』は常に攻め続けるゲームだ、という点で最も違います。とはいえ『ウォーロン』は気勢システムを採用したところで唯一無二の手触りも実現しており、もっとこの点をブラッシュアップしていくことができれば、新たにTeam Ninjaを代表するゲームの一つ、いやアクションゲームをも代表する作品の一つとなるのではないか、と今から妄想してしまいます。気が早いですが、ぜひとも続編をお願いしたいところです。

クリア後の一言感想

クリア後の感想をざっくりと。まず、化勁一つに頼り切ったシステムの功罪が進めるにつれてはっきりしてきたなという感想を持ちました。もちろん、これは遊びやすさにもつながっているため何とも言えないところですが、次回作はこの化勁というシステムをブラッシュアップしたものがみたいな、というのが最初の感想です。

また、マップに関しては高低差がある立体的なマップを作り、士気ランクのお陰で探索にメリットをもたせた点は良い点だと思います。一方、どこにいっても同じような道に見えたり、水に落ちるあーやられた、というような感じではなく意地悪な感じだったのは少しだけ残念です。どちらかといえば敵の配置で驚かせてほしかったなと思います。死にゲーという文脈の中ではかなり敵配置が素直だったなという感想をいだきました。

最後に戦闘全般に関して。まず対複数戦に関してですが、せっかく敵の秘技を化勁しても絶脈への移行がスムーズではなく、複数戦が難しいのが死にゲーの常とはいえ、雑魚相手くらいは秘技化勁取る→すぐさま即死の絶脈移行、というふうにストレスフリーにしてもらえたら化勁の楽しみも増したのかな、と思いました。そうすれば多対一が面白い死にゲーというありそうでなかったジャンルにもできたのかなぁ、と。

ボス戦に関しては、化勁をし続けて楽しい、というボスの数がそれほど多くなかったのかな、と思います。初戦の張梁や呂布戦などは楽しかったですが、それ以外は判定が残るボスだったり、通常攻撃でもひるみづらい敵が多い(妖怪はひるまない)ので爽快感は若干減ってしまったように思えます。化勁の便利さはそのままに、より爽快感のある楽しいバトルになることを次回作移行に期待します。

ウォーロンの製品情報

製品情報

ウォ−ロンパッケージ
タイトル Wo Long: Fallen Dynasty
(ウォーロン フォールン ダイナスティ)
開発 コーエーテクモゲームス Team NINJA
対応機種 PlayStation 5 / PlayStation 4 /
Xbox GamePass / Xbox Series X|S / Xbox One
Steam(PC) / Windows(microsoft store)
ジャンル アクションRPG
プレイ人数 1人~5人
CERO D
公式サイト https://teamninja-studio.com/wolong/jp/

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コメント

58 名無しさん

開発者はドラゴンボールの見過ぎだな

57 名無しさん

2週目やろと思わない、面白くない

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