ゼンレスゾーンゼロ(ゼンゼロ)の評価レビューです。実際にプレイした感想を交えて紹介しているので、ゼンレスが面白いかどうか気になっている人は参考にしてみてください。
総合評価 | ||
---|---|---|
55点/60 | ||
世界観 | グラフィック | 戦闘 |
8/10 | 10/10 | 10/10 |
キャラクター (ストーリー) |
サウンド | 快適さ |
10/10 | 8/10 | 9/10 |
評者はPS5版でプレイしています
【総合評価】 編集部が話し合いによって決める参考値です。総合評価は10点満点となっており、10点=神ゲー、5点=普通、1点=致命的のように点数が高いほどより面白いゲームと言えます。 【6項目評価】 世界観:世界の出来栄えの参考値 グラフィック:映像や背景の綺麗さの参考値 戦闘:戦闘システムの面白さなどの参考値 キャラクター:キャラたちの魅力、背景の参考値 サウンド:ボイスやSE、BGM等の参考値 快適さ:ロード時間や操作性の参考値 |
まずはシンプルに、本作『ゼンレスゾーンゼロ』の概要をお約束的に紹介していこう。ゼンレスゾーンゼロは、『崩壊3rd』『原神』『崩壊スターレイル』などを手掛ける「Hoyoverse」の最新作だ。Hoyoverseはグラフィックやストーリー、操作性やメディア展開など多くの面で”ユーザーの信頼を勝ち取った”会社と言っても過言ではないだろう。
さて、本レビューは2024年4月に実施されたCBTの内容に立脚する。正式リリース後のものと細かな違いはあるかもしれないが、その点どうかご容赦いただきたい。
Hoyoverseファンの方はお気づきかもしれないが、各種PVを見れば分かるとおり、ゼンレスは過去の作品とは雰囲気が大きく異なっている。SFではあるのだが、より現実世界じみているというか、どことなく日本人に見覚えのある光景というか、ともかく過去の作品群と比べると異質だ。そんな本作の世界観から紹介していきたい。
物語の舞台は「新エリー都」。謎の自然災害「ホロウ」により破滅的な被害を受けた世界において、ホロウとの共生をなんとか実現している都市。そう、新エリー都はホロウから身を守る単なるシェルターではない。「特務捜査班」のような治安局、対ホロウ庁とでも呼ぶべき組織「対ホロウ6課」、建設会社「白祇重工」、胡散臭いなんでも屋「邪兎屋」など、そこには確実に人々の生活圏として機能しいる。
ゼンレスの世界背景はいわゆる終末もの・ポストアポカリプスの要素を含んでいる。その根源たるホロウは現実世界における「台風」のようなものであり、恐れるものではなく備えるものとして描かれているのだ。
ホロウは危険ですか?
いい質問ですね。この質問の答えは、聞き手が誰かによって変わります。
あなたはホロウ調査協会の一員でしょうか?ご自身の「職場」が危険だなんて、またまたご冗談を!
それとも、ホロウレイダー?なら訂正させてください。ホロウではなくて、宝の山です!
まさか、エーテリアスだったり?なんと.....ようこそ生まれ故郷へ!
出典:新エリー都入居ガイド |「ホロウ」生存編
そんな新エリー都に暮らす主人公は、兄妹でレンタルビデオ屋を営んでいる。のは表の顔。その正体は「プロキシ」。プロキシは主に「ホロウレイダー」と呼ばれる盗掘者(冒険者?)などと手を組み、政府のホロウ監視と管理をかいくぐる手助けをする代わりに報酬を得る。ホロウ探索におけるオペレーター兼ナビゲーター的存在でもあり、ゆえにホロウに関する知識も豊富だ。特に主人公兄妹は伝説的とさえ言われる腕前を持つ、まああれだ、要はスーパーハカー的な。
そんな凄腕のプロキシである彼らは、とある依頼を受けたことによりその地位や権限などをすべて失ってしまう。そうして兄妹は再びプロキシとしての名を取り戻すべく、ある出会いを果たすのだが……これが、序幕の簡単なあらすじだ。そんなわけで2人にとっては強くてニューゲームが始まるわけだが、ここで面白いのはその理由。
「このままでは生活が成り立たない」
世界を救うだとか使命感に駆られてだとか、そんな大義名分は一切ない。ただ新エリー都で生きていくためにという、極めて人間的な理由。しかし、それが最も大事だという世界。ゼンレスゾーンゼロという舞台背景、ホロウとの共生がよく現れているのではないだろうか。
さて、肝心のゲームプレイ部分の話をしよう。まずはゼンレスゾーンゼロにおいて最も重要な「アクションゲーム」としての紹介をしたい……のだが、そもそもスマホ×アクションというジャンルの問題点を考えてみたい。
アクションゲームにおいて、「音ゲー」という言葉が出てくることがある。これは敵の攻撃に合わせて回避や反撃を行うさまを揶揄して(?)、タイミングに合わせてボタンを押す音ゲーとやっていることは同じ、という意味だ。もし敵の行動パターンと反撃タイミングを譜面化し、ノーツに合わせてキャラがアクションを取ってくれるゲームがあるとしたら……アクションなのか音ゲーなのか判断に迷うかもしれない。
ただしアクションには、音ゲーには事実上存在しない「位置(移動・方向)」という概念がある。例えばタイミングよく反撃を行ったとしても、敵に攻撃が届く「位置」におらずダメージを与えられなければ、それはボタンを押していないのと同義だ。
ここで重要なのは「位置・移動・方向」という概念や操作は、実は結構高度な技術であるということだ。アクションRPGの操作が下手な人はいても、コマンドRPGの”操作”が下手な人は、まあいないだろう。そしてこれら高度な操作技術は、スマホとの相性が悪い。しかしこの重篤な課題を、ゼンレスは操作を簡素化することで解決することに成功している。
スマホやタブレットでのアクションは、複雑で繊細な操作との相性が良いとは言えない。例えば一般的なコントローラーはメイン4ボタンとLRの4ボタンの8個が用意されているが、同じだけのボタンをスマホ上に配置したら大変なことになるだろう。メインとなるボタンが5つというのは、スマホアクションの事実上の限界と考えてもいい。
本作の戦闘システムは、一見複雑だ。キャラの交代や極限回避、極限支援にパリィ支援など名称からしてややこしいだけでなく、それらシステムを使いこなし戦っている映像を見ると、まるで高いプレイヤー技術を要求されているようにも見える。
しかしその実、操作は非常に簡単だ。ゼンレスの戦闘は、通常攻撃、特殊スキル、回避、交代、終結スキルの5つのボタンのみで操作が完結する。長押しはあるが同時押しは存在せず、直感的にプレイしやすいのだ。
結論を言おう。ゼンレスゾーンゼロの戦闘は、スマホアクションの完成形の一つだ。決して相性が良いとは言えないスマホアクションにおける、「Hoyoverse」が出した答えとは。
ゼンレスは「位置」という要素をなるべく排除し、アクションを「音ゲー」化させたアクションゲームと言えるだろう。もちろん敵との距離の問題はあるが、位置と方向を調整する操作量は極限まで落とされている。
攻撃アクションはターゲットに対してお節介と言えるほどエイムが良く、真横より少し後ろまで追いかけてくれる。距離の問題についても、多くのアクションは距離に応じて大胆に前進してくれるので移動の手間が少ない。指定が明確に必要なのは唯一、回避方向くらいのものだ。後述するが、その他多くの細かい部分で戦闘を快適にする工夫がなされている。
つまりプレイヤーはただ敵の攻撃を見極めることに集中でき、タイミングよくボタンを押せば十分ゲームを楽しめる環境に立てる。音ゲー化できるのだ。
なお念のため補足するが、ここまでの話はあくまで「ゼンレスは制約の多いスマホアクションでありながら、より多くのプレイヤーが操作を楽しめる」という内容である。裏を返せば、高いアクション性を求めるプレイヤーにとっては操作の幅が狭いという評価になるだろう。つまり、アクションゲームとしてヌルいと感じる人もいるはずだ。
ボタンや操作が少ないということは、対応するアクションの幅も狭くなってしまうということだ。あちらを立てればこちらが立たずとはまさにこのことで、「アクションが面白くない」事態に発展しやすい。では本作は、単純な操作と面白さの両立をどのようにして図ったのだろうか。
ゼンレスゾーンゼロはアクションの成功判定を、特に防御的な部分において演出的に視覚的に明らかにしている。
例えば回避。攻撃に合わせてタイミングよく回避を合わせると「極限回避」となり、瞬間的に画面がスローになる。例えばパリィ支援。特定攻撃に対して交代を行うと、後続のキャラが大胆に敵の攻撃を防ぎ、同時にカメラワークまで専用のものとなる。
もちろん攻撃成功時の演出も卓越している。攻撃成功時には過剰とも言えるヒットストップが発生し、与ダメージは被ダメージの2倍ほど大きく画面に表示される。ブレイクや状態異常では敵の行動を大きく制限することで、一方的に攻撃を重ねられる連携スキルではQTEを発生させることで、圧倒的有利状況をプレイヤーに伝えてくれる。
「敵の攻撃の対処に成功した」「上手く攻撃を繋げられた」というポジティブなプレイに対して、ゼンレスは演出的にも視覚的にも特別かつ最大の報酬を与えることにしたのだ。こうしてゼンレスにアクションを褒められ続けるとどうなるか。「……今の俺うまっ!」となるわけだ。別に高度な操作技術を駆使したわけでもないのに、いちいち褒められる。
この状態になると、もう楽しくてプレイが止まらなくなる。やってることが音ゲー的だったとしても、「アクションゲーム」を続けたくなる。だって、何に成功しても褒めまくってくれるんだもん。もしかすると自分は、オペラント条件付けをされたウサギなのかもしれない。いや、それでいいのだ。だって現に楽しいのだから。
蛇足気味だが、ここでは筆者がゼンレスのアクションにおいて「快適さ」を助ける細かい配慮を羅列した。指で画面を覆ってしまう事による視認性の低下への解決だったり、細かい操作をせずとも戦闘をこなせる仕組みだったり、特にスマホでのプレイを想定した配慮が多い。
文章で見るとなんてことないように感じるかもしれないが、実際にゲームに触れてみると、これらの配慮がいかにゲーム体験に影響を与えるかが分かるはずだ。
アクションゲームとしては120点を与えたい本作であるが、なかなか趣の異なるゲームモードがある。それが「ホロウ探索」であり、主人公兄妹の仕事の大半となる。
筆者の極めて個人的な感想が許されるのなら、あらかじめ言っておこう。このホロウ探索、まあまあ退屈である。ストーリー的にとかではなく、ゲーム的に。アクションを求めるプレイヤーからしてみれば、ホロウ探索パートは身が凍るほどの冷や水と言えるだろう。
ホロウ探索は先述のアクションパートとは大きくルールが異なる。マス目に区切られたマップを移動するローグライク風味な見た目に変わり、アクション性は原則としてない。プロキシは「ボンプ」と呼ばれるドローンのようなものでこのマス目(ホロウ内)を移動し、エージェント(キャラ)を導くのだ。つまり、ただ目的地に向かって移動するだけである。
先述の通り主人公兄妹はプロキシであり、生身でホロウの現場に赴くことは基本的にない。ホロウを実際に歩く人たちの支援を遠方から行うわけだ。探索中のエージェントたちの視点が「アクション」だとすれば、プロキシとしての視点を描いているのが「ホロウ探索」と言える。
ゲームモードを大胆に切り替えることでそれぞれの立場を区別しているのか、と感心はする。しかし、プレイヤーの視点はエージェントでありプロキシでもある。画面の外にいるプレイヤーにとってそれが面白いかどうかは別だ。
無論、ゲーム的なホロウ探索はただ移動するだけではない。敵がいるマスならアクションパートが発生するし、お宝を回収することもある。しかしホロウ探索の根本にあるのは「謎解き」だ。この謎解きは、頭脳パズルと発見(隠し通路など)にその大半が集約されている。
謎解きは、下手をするとアクションゲーム以上に個人差が激しいとさえ言える。得手不得手ではなく、好き嫌いの個人差だ。謎解きの種類にもよるが、「惜しい」とか「もう少し」とか「ガチれば勝てそう」みたいな、失敗しても再挑戦したくなるような達成感手前の状態になりづらいのがその理由の1つだろう。敵のHPやスコアのような数値的進捗が確認できず、諦めるという判断を取りづらいのもある。
そして困ったことに、私たちがイメージする以上に、謎解き・クイズの難易度調整は難しいのだ。
実は2023年12月に実施されたCBTでは、ホロウ探索における謎解きは全体的に難しかった。人によっては答えがないと先に進めないレベルである。実際フィードバックで意見があったのか、2024年4月のCBTでは難易度が調整された。
調整後のホロウ探索(謎解き)を確認した筆者の率直な感想は、「これいるか?」であった。本当にそのまま口にしたように思う。何故なら、謎解きとして体をなしていないほど簡単な問題になっていたから。スイッチが押されてる間だけ開く扉を通るために箱を置く、程度の謎解きばかりになっていたのだ。
解けない謎解きは困る。ゲーム進捗が止まってしまうから。しかし簡単な謎解きは、困りはしないが面白くない。そこになんの達成感も存在しないからだ。間口を広げるためにアクションを簡素にしたのであれば、謎解きもまた簡素に、いや退屈にせざるを得ないというジレンマが発生している。もちろん、しっかり達成感が残る程度に調整された謎解きもあるにはある。しかし本作の謎解きの大半は、ゴールに向かうまでの退屈な移動でしかないのだ。
じゃあ難しいほうがいいのかって?いやあ、攻略サイトとしてはそのほうがありがたいけども、筆者個人としては別に…
ホロウ探索は実際、CBTの段階でもあまり良い評判ではなかったようである。筆者もそちら側だ。しかしその考えは、CBTプレイ時の終盤になって大幅に変わったという事実を伝えておきたい。先ほどまで紹介したホロウ探索の問題点は、「必要性を感じない謎解きと達成感のなさ」である。しかしこのマス目で区切られたホロウ探索には、「零号ホロウ」と呼ばれる別コンテンツが存在する。
零号ホロウは、ローグライク気質なエンドコンテンツだ。見た目こそ通常のホロウ探索に似ているが、ランダムなイベントがそれぞれのマスに配置されているのが大きな特徴だ。プレイヤーはイベントの種類を判断し、状況に応じた選択を何度も繰り返していく。
零号ホロウでの操作(移動)は通常と何も変わらないが、イベントマスの存在によって探索は取捨選択に変わり、そこには確かな戦略性が生まれている。移動による戦略性の提供は達成感に取って代わって、プレイヤーへの面白さの提供に成功している。ただし、その面白さを実感できるようになるまでには長いかもしれない。筆者の場合、いつの間にかハマっていることに気づくまで3週間ほどの時間を要した。
ともかく、ホロウ探索が退屈でつまらないパートと感じた人がもしいれば、もう少し我慢してみてほしい。つまらないのはストーリーやサブ依頼のホロウ探索だけなのだ。しかもその辺のコンテンツは1回クリアすればもうやらなくていいのだから。零号ホロウの中毒性にぜひ気づいてほしい。
ゼンレスゾーンゼロの世界は物語的にもゲームプレイ的にも、はっきり言って狭い。しかし、それは恐らく意図されたものだ。本作は、昨今の3Dアクションゲームでは当然となりつつある物理的な「広い世界」からの脱却を試みた。
もしディズニーランドの広さが2倍になったら、どんなことが可能になるだろう。アトラクションの種類やホテルの宿泊人数が増えるとか、混雑や待ち時間の解消とか、まあ今より更に面白く快適になりそうな気がする。では10倍20倍になったら……まず移動が大変だし、迷子も増えるかもしれない。広さに見合ったスタッフの雇用なんかも必要だ。
もしとある協力マルチゲームを遊ぶための4人のDiscordグループがあったとして、それが8人に増えたらどうだろう。誰もいないという状況は減るだろうし、対抗戦のような別の楽しみ方も出てきそうだ。では40人80人に増えたら……派閥ができたりトラブルが増えたり、サーバー管理者が蒸発する未来も見えるかもしれない。
物事・世界には適切な規模というものが存在する。小さすぎても大きすぎても上手くいかない。これはゲーム世界の話であっても全く同じだ。
実際に感じたことはないだろうか。ただ広いだけで敵もアイテムもない荒野、施設を利用するために走り回らされる街、気づけば20秒間も上方向にスティックを倒し続けているだけの自分。その広い世界に、果たして面白さが比例しているだろうか?
旅行の片道2時間は許せても通勤通学の片道1時間が苦痛であるように、繰り返される物事にかかる時間は基本的に短ければ短いほどいい。多くのソシャゲは最終的にプレイのほとんどが繰り返し、いわゆる周回ゲーになる。ゼンレスゾーンゼロも例外ではい。
だからこそ本作は世界を狭く、いや周回ゲーにおける適度な広さを新エリー都の「六分街」に定めた。六分街とは主人公兄妹が住む街の名前で、ゲーム中のプレイはほぼ全てこの小さな街で済む。六分街以外のエリアも存在はするが周回プレイにおいてほぼ関係なく、物語上訪れることになるだけだ。
そして驚くべきことに、強化素材集めや装備厳選、ステージなどの周回・攻略要素の8割は主人公たちの自室で完結する。毎日同じことを繰り返すというゲーム体験において、可能な限り世界を縮めていった結果が、たった一室にまとめられている。狭すぎると思うかもしれないが、考えてみれば不思議なことでもない。毎日を繰り返す私たちだって、一日の半分程度は家の中にいるのだから。
ゼンレスは最小単位と言えるほど小さな世界を作ったが、それでもまだ足りないと言わんばかりにシステム方面でのアクセシビリティにもぬかりがない。全ての都市・施設・バトルエリアには、ファストトラベルで即座に移動が可能だ。
周回コンテンツでは基本的に連続プレイが可能であるし、忙しい人にも優しくほぼ全てのムービーやストーリーはスキップできる。いわゆるデイリーミッションやNPCイベント、新発生クエストなどは画面上にフキダシが表示され、無駄な移動を必要としない。
利便性を追求したゼンレスゾーンゼロの狭い世界は、一方でワクワク感やドキドキ感を得られにくい。ゆえにプレイ時間が短いうちは、こぢんまりとした新エリー都という舞台にがっかりするかもしれない。しかしあなたが六分街の住人として生活するようになった際には、いかにこの世界が心地よい広さであるかが分かるはずだ。
狭い世界がもたらした恩恵は、なにもゲーム的な利便性に限った話ではない。どこか現実味のあるストーリー、人間味のあるキャラクター、アニメとマンガ。この小さな世界には、他のゲームでは味わえない魅力が凝縮されているのだ。
少々ネタバレになるかもしれないが、一章のあらすじを紹介しよう。一章は主人公兄妹がテレビのニュースを見るところから始まる。
「ヴィジョンコーポレーション」という建設会社が、ホロウ災害で崩壊してしまった旧都地下鉄の復旧工事についてインタビューを受けている。崩落した旧路線は爆破解体を行い、その後に新地下鉄の工事に入る。ヴィジョンはこの爆破解体を安全・短期間・低コストで実現できる計画と技術を持っていたため、「白祇重工」など競合他社を差し置いて競争入札で工事の請負を勝ち取っていたのだ。代表者のパールマンという男はインタビュアーの予期せぬ質問に焦っているようだが……そんなニュースを関心を持って見ている2人のもとに、とある来客が。といった具合だ。
恐らく予想されているかと思われるが、ヴィジョンという建設会社にはウラがあり、その陰謀を暴くのが一章のおおまかな目的となる。話の規模としては大きいが、なんだか実世界でもありそうな、理解しやすそうな内容であることが分かるだろうか。内容が低次元という意味ではなく、話の構造がスッと頭に入ってくるということだ。
一章の場合、敵は実態の見えない謎の組織ではなく、実体を持った一企業の一計画にすぎない。銀河の危機だとか神々との戦争だとか、実感が湧かないほど人一人からかけ離れた壮大な話ではないのだ。もちろん今後の展開によっては理解不能なストーリーになっていく可能性もあるが、ゼンレスはSF的・サイバーパンク的な世界観であるがゆえに、物語の内容は浮世離れせず、どこか現実的だ。
蛇足だが、身も蓋もない話をしよう。ゼンレスゾーンゼロでは、わけのわからんオリジナル単語の洪水で溺れることはない。これは翻訳の妙技によるところもあるだろうが、ともかく。しっかり理解できるストーリーを楽しめるのだ。
ゼンレスの物語は、それぞれの章ごとに中核となるキャラが明確に異なる。例えば序章と一章では「ニコ」「アンビー」「ビリー」「猫又」4人の「邪兎屋」メンバーだけで話が進む。主人公を除けば、物語の95%はこの4人が話しているだろう。
二章の登場人物はガラッと変わり、新たに出会う4人との物語に極端にフォーカスされる。CBT時点では三章の序幕までしか体験できなかったが、恐らくまた新たな4人とのストーリーが展開されているのだろう。とある軍隊に所属する「11号」というキャラは「エージェント依頼」という形式で物語が展開され、こちらはなんとほぼ11号しか登場しない。
この極端な人数制限、小さな世界の連続はどう考えても計画されたものと言える。そのことは「ストーリー集中モード」というシステムの存在からして明らかだ。ストーリー集中モードでは、◯◯機能解放!だとかサブ依頼のメールが届くとか、物語に直接関係のない事柄を一時的に完全シャットダウンする機能だ(モード終了後に一括解放されるので安心)。
この徹底具合によって、ストーリーを通してそのキャラたちの性格や内面、特徴などを知ることができるのだ。先述した通りストーリーの内容が分かりやすいため、各人物の目的や状況も明確になっている。これによって何が起こるか。答えは単純。いとも簡単にそのキャラたちを好きになる。悔しいくらいに。
▲筆者のが好きなムービーの一つ。全貌は本編で
筆者は、あまりゲーム内のキャラを好きになることがないタイプだ。いや、設定や背景よりもゲーム的な性能で好きになるタイプというのが正しいか。逆に言うとマンガやアニメ、映画などのように自分自身が介入することができない作品の登場人物は結構簡単に好きになってしまう。
本作ゼンレスゾーンゼロのストーリーは基本的にビジュアルノベル形式で進んでいくのだが、困ったことに、マンガとアニメを要所で挟んでくる。何が困るかって?これがね、嘘だろってくらい簡単に好きになってしまうわけだ。キャラを。悔しい。
これはなんというか、自分の好きなゲームがマンガ化アニメ化されている感覚に近いかもしれない。経験ないだろうか?原作ではよく分からなかった・好きになれなかったキャラが、別媒体の作品により解像度が上がり一気に印象が変わるような経験が。ゼンレスはそれをゲーム内で実行してしまっているのだ。
いかがだっただろうか。本作『ゼンレスゾーンゼロ』の魅力が少しでも伝わったのなら幸いだ。あなたが新エリー都の新たな入居者になることを期待して、最後は公式Tipsの引用で締めようと思う。
新エリー都入居ガイド|都市ライフ編
=新住民への入居Tips=
新エリー都で暮らすには、次の準備が必要になります。
1.新生活に適応するための時間。
2.不測の事態が起こっても、臨機応変な対応ができる身体能力。
3.ホロウと共存できるほどの強いメンタル。
4.最後であり最初である都市のことを知るため、辺りを散策すること。
出典:新エリー都入居ガイド | 都市ライフ編
タイトル | ゼンレスゾーンゼロ |
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開発 | Hoyoverse |
対応機種 | iOS / Android / Windows(PC) / PlayStation5 |
ジャンル | アクションRPG |
プレイ人数 | 1人 |
公式サイト | 『ゼンレスゾーンゼロ』公式サイト |
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評価レビュー・プレイした感想【ゼンゼロ】
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最近始めたばかりで、アクション面とかは別にこんなもんかって感じだけど、HDDでのゲームがつまらなすぎてストーリー進めるのが辛い、、、 あと、昇格するのに色んなデータ集め必要だったり、スマホゲーみたいなノリで始めたけど、中身は一昔前のMMOっぽさがあって、正直スキマでやるのは楽しくないかも。 あと、グラフィックがすごいって聞いて始めたけど、ぶっちゃけプレイできる時のキャラはそんなによくないから、これまた微妙なんよね。 ただ、UIは本当に気合い入ってて好きかな。